万葉集の歌碑めぐり

万葉歌碑をめぐり、歌の背景等を可能な限り時間的空間的に探索し、万葉集の万葉集たる所以に迫っていきたい!

2019-04-01から1ヶ月間の記事一覧

万葉歌碑を訪ねて(その61改,62改)―春日大社北参道沿い―万葉集 巻八 一五三七、一五三八

―その61― ●歌は、「秋の野に咲きたる花を指折りかき数ふれば七種の花」である。 春日大社境内万葉歌碑(山上憶良)<七種の花> ●歌碑は、春日大社北参道沿いにある。 ●歌をみていこう。 ◆秋野尓 咲有花乎 指折 可伎數者 七種花 其一 (山上憶良 巻八 一五…

万葉歌碑を訪ねて(その59改、60改)―奈良県桜井市金屋、春日大社神苑 萬葉植物園―万葉集 巻十二 三一〇一

―その59,60― ●歌は、「紫は灰刺すものぞ海石榴市の八十の衢に逢へる児や誰」である。 ●歌碑は、奈良県桜井市金屋 海拓榴市観音に通ずる道の三叉路にある。 奈良県桜井市金屋 海拓榴市観音に通ずる道の三叉路の万葉歌碑 ●同歌の歌碑が、奈良市春日野町 …

万葉歌碑を訪ねて(その58改)―奈良県天理市中山町長岳寺北山の辺の道沿い―万葉集 巻二 二一二

万葉歌碑を訪ねて―その58― ●歌は、「衾ぢを引手の山に妹を置きて山道を行けば生けりともなし」である。 「泣血哀慟歌」と呼ばれる歌群の中の短歌である。 奈良県天理市中山町山の辺の道沿い万葉歌碑(柿本人麻呂) ●歌碑は、奈良県天理市中山町長岳寺北山…

万葉歌碑を訪ねて(その57改)―奈良県天理市新泉町の大和神社―万葉集 巻五 八九四~八九六

●歌は、「好去好来歌一首反歌二首」である。 奈良県天理市新泉町大和神社境内万葉歌碑(山上憶良) ●歌碑は、奈良県天理市新泉町の大和神社にある。 ●長歌ならびに反歌二首をみてみよう。 題詞は、「好去好來(かうきよかうらい)歌一首反歌二首」である。 ◆…

万葉歌碑を訪ねて(その55改、56改)―天理市西長柄町長柄運動公園、山辺御縣坐神社

● 奈良公園や大神神社に出かける時、なら山大通りを進み、奈良阪町北を右折し旧ドリームランド前を通るが、右折して次の信号の手前に、バス停「奈保山御陵」がある。この道の東側に奈保山東陵(なほやまひがしのみささぎ)がある。元明天皇の陵である。ちな…

万葉歌碑を訪ねて(その54改)―石上神宮外苑―万葉集 巻十 一九二七

●歌は、「石上布留の神杉神びにし我れやさらさら恋にあひにける」である。 石上神宮外苑万葉歌碑(作者未詳) ●歌碑は、石上神宮外苑にある。 ●歌をみていこう。 ◆石上 振乃神杉 神備西 吾八更ゝ 戀尓相尓家留 (作者未詳 巻十 一九二七) ≪書き下し≫石上(…

万葉歌碑を訪ねて(その53改)―奈良県天理市櫟本町和爾下神社―万葉集 巻十六 三八二四

●歌は、「さす鍋に湯沸かせ子ども櫟津の檜橋より来む狐に浴むさむ」である。 奈良県天理市櫟本町和爾下神社境内万葉歌碑(長忌寸意吉麻呂) ●この歌碑は、奈良県天理市櫟本町和爾下(わにした)神社にある。 ●歌をみていこう。 ◆刺名倍尓 湯和可世子等 櫟津…

万葉歌碑を訪ねて(その52改)―奈良県天理市前栽公民館―万葉集 巻七 一三五三

●歌は、「石上布留の早稲田を秀でずとも縄だに延へよ守りつつ居らむ」 である。 奈良県天理市前栽公民館前万葉歌碑(作者未詳) ●歌碑は、奈良県天理市前栽公民館にある。 前栽(せんざい)のいわれは、天理市HPによると、「中世、東大寺領の千代庄であった…

万葉歌碑を訪ねて(その51改)―近鉄天理駅前―万葉集 巻十二 二九九七

●歌は、「石上布留の高橋高々に妹が待つらむ夜ぞ更けにける」である。 近鉄天理駅前万葉歌碑(作者未詳) ●歌碑は、近鉄天理駅前にある。 近鉄天理駅 ●歌をみていこう。 ◆石上 振之高橋 高ゝ尓 妹之将待 夜曽深去家留 (作者未詳 巻十二 二九九七) ≪書き下…

万葉歌碑を訪ねて(その50改)―天理市布留町 石上神宮―万葉集 巻四 五〇一

●歌は、「未通女らが袖布留山の瑞垣の久しき時ゆ思ひき我れは」である。 ●歌碑は、奈良県天理市布留町 石上神宮の大鳥居の側にある。 石上神宮大鳥居側の万葉歌碑(柿本人麻呂) ●歌をみていこう。 ◆未通女等之 袖振山之 水垣之 久時従 憶寸吾者 (柿本朝臣…

万葉歌碑を訪ねて(その49改)―天理市役所―万葉集 巻十二 三〇一三

天理市を流れる布留(ふる)川、「袖振川之(そでふるかはの)」(巻十二 三〇一三)、「雨零川之(あめふるかわの)」(巻十二 三〇一二)と詠まれている。奈良県天理市には、「布留町(ふるちょう)」がある。「布留」という地名は、「ふる」にかかる枕詞…

万葉歌碑を訪ねて(その48改)―奈良市都祁友田町 都祁分水神社―万葉集 巻一 八一 

●歌は、「山の邊の御井を見がてり神風の伊勢少女ども相みつるかも」 である。 ●歌碑は奈良市都祁友田町 都祁分水神社(つげみくまりじんじゃ)境内にある。 都祁分水神社境内 山邊の御井脇の万葉歌碑(長田王) ●歌をみていこう。 ◆山邊乃(やまのべの) 御…

万葉歌碑を訪ねて(その47改)―芝運動公園―万葉集 巻一 一八

●歌は、「三輪山をしかもかくすか雲だにも心あらなむかくさふべきしや」である。 芝運動公園万葉歌碑(額田王)背後は三輪山 ●歌碑は、芝運動公園にある。歌は、景行天皇陵近くの山の辺の道にあるものも反歌と同じである。 ●歌をみていこう。 ◆三輪山 然毛隠…

万葉歌碑めぐり(その46改)―大神神社宝物殿横―万葉集 巻八 一五一七

●枕詞の「うまさけ」は、味酒あるいは、旨酒と書かれる。味の良い上等な酒を「神酒(みわ)(=神にささげる酒)」にすることから、「神酒(みわ)」と同音の地名「三輪(みわ)」に、また、「三輪山」のある地名「三室(みむろ)」「三諸(みもろ)」 など…

万葉歌碑を訪ねて(その45改)―景行天皇陵近くの山の辺の道―万葉集 巻一 一七、一八

●歌は、「味酒三輪山あをによし奈良の山の山際にい隠るまで道の隈い積もるまでにつばらにも見つつ行かむをしばしばも見放けむ山を情なく雲の隠さふべしや」ならびに、反歌「三輪山をしかも隠すか雲だにも心あらなむ隠さふべしや」である。 景行天皇陵近くの…

万葉歌碑を訪ねて(その44改)―奈良市北御門町五劫院境内―万葉集 巻五 九〇二

●歌は、「水沫(みなわ)なす微(もろ)き命も栲縄(たくなわ)の千尋(ちひろ)にもがと願ひ暮しつ」である。 奈良市北御門町五劫院境内万葉歌碑(山上憶良) ●歌碑は、奈良市北御門町五劫院境内にある。 ●歌をみていこう。 ◆水沫奈須 微命母 栲縄能 千尋尓…

万葉歌碑を訪ねて―その43改―万葉集には振られた男の負け惜しみの歌もある―

●万葉集は様々なジャンルの歌が収録されている。 今回紹介するのは、湯原王(ゆはらのおおきみ)の歌である。 歌碑の歌ともう一つは、「娘子」との恋の駆け引きの歌である。11首の駆け引きの歌と最後は振られた湯原王の負け惜しみの歌である。 東大寺大仏…

万葉歌碑を訪ねて(その42改)―東大寺大仏殿の外西北部―万葉集 巻八 一九五八

●歌は、「わが背子とふたり見ませばいくばくかこの降る雪のうれしからまし」である。 ●歌碑は、東大寺大仏殿の外西北部にある。 東大寺大仏殿北西万葉歌碑(光明皇后) ●歌をみていこう。 ◆吾背兒与 二有見麻世波 幾許香 此零雪之 懽有麻思) (光明皇后 巻…

万葉歌碑を訪ねて(その39改,40改,41改)―奈良市中院町元興寺極楽坊境内、元興寺塔跡、奈良市西新屋町奈良町資料館内―万葉集 巻六 一〇一八、巻六 九九二

―その39― ●歌は、「白玉は人に知らえず知らずともよし知らずとも吾れし知れらば知らずともよし」である。 元興寺極楽坊境内万葉歌碑(元興寺之僧) ●歌碑は、奈良市中院町元興寺極楽坊境内にある。 ●歌をみていこう。 ◆白珠者 人尓不所知 不知友縦 雖不知 …

万葉歌碑を訪ねて(その38改)―奈良市高畑町比賣神社―万葉集 巻一 二二

歌は、「川の上のゆつ岩群に草生さず常にもがもな常処女にて」である。 比賣神社の万葉歌碑(吹芡刀自) ●歌碑は、奈良市高畑町の比賣(ひめ)神社にある。比賣神社は新薬師寺山門の横に位置する小さな神社である。 ●歌をみていこう。 ◆河上乃 湯都岩盤村二 …

万葉歌碑を訪ねて(その37改)―奈良市白毫寺町 奈良奥山ドライブウェイ(高円コース)頂上展望所―万葉集 巻二十 四三一九

●歌は、「高円の秋野の上の朝霧に妻呼ぶを鹿出で立つらむか」 である。 奈良奥山ドライブウェイ(高円山コース)頂上展望所万葉歌碑(大伴家持) ●歌碑は、奈良市白毫寺町 奈良奥山ドライブウェイ(高円コース)頂上展望所にある。 ●歌をみていこう。 ◆多可…

万葉歌碑を訪ねて(その36改)―率川神社―万葉集 巻七 一一一二

●歌は、「はね蘰今する妹をうら若みいざ率川の音の清けさ」である。 ●歌碑は、奈良市本子守町の率川神社境内にある。 率川神社境内万葉歌碑(作者未詳) ●歌をみていこう。 ◆波祢蘰今為妹乎浦若三去来率去河之音之清左 (作者未詳 巻七 一一一二) ≪書き下し…

万葉歌碑を訪ねて(その35改)―西大寺境内、鐘楼横―万葉集 巻十九 四二六八

●歌は、「この里は継ぎて霜や置く夏の野に 我が見し草はもみちたりけり 」である。 西大寺鐘楼前万葉歌碑(孝謙天皇) ●歌碑は、西大寺境内、鐘楼前にある。 ●歌をみていこう。 ◆此里者 継而霜哉置 夏野尓 吾見之草波 毛美知多里家利 (孝謙天皇 巻十九 四二…

万葉歌碑を訪ねて(その34改)―春日野町氷室神社境内―万葉集 巻十九 四二九二

●歌は、「うらうらに照れる春日にひばり上がり心悲しもひとりし思へば」である。 春日野町氷室神社境内万葉歌碑(大伴家持) ●歌碑は、春日野町氷室神社境内にある。 ●歌をみていこう。 ◆宇良ゝゝ尓 照流春日尓 比婆理安我里 情悲毛 比登里志於母倍婆 (大伴…

万葉歌碑を訪ねて(その33の2改)

―その33の2― 前稿―その33の1―で巻十 一八五四から一八六三歌まで紹介した。今日は、その残りを紹介していく。 <歌碑の歌>「見渡せば春日の野辺に霞立ち咲きにほへるは桜花かも」 (作者未詳 巻十 一八七二) 「万葉ゆかりの地を訪ねて~万葉歌碑めぐ…

万葉歌碑を訪ねて(その33の1改)―奈良市登大路町「県庁東交差点」北東角―万葉集 巻十 一八七二

―その33の1― ●歌は、「見渡せば春日の野辺に霞立ち咲きにほへるは桜花かも」である。 登大路町県庁東交差点北東万葉歌碑(作者未詳) ●歌碑は、奈良市登大路町「県庁東交差点」北東角にある。 ●歌をみていこう。 ◆見渡者 春日之野邊尓 霞立 開艶者 櫻花鴨…

万葉歌碑を訪ねて(その32改)―法連町 岡本邸(佐保山茶論)門前の庭―万葉集 巻十九 四二九一

●歌は、「我がやどのいささ群竹吹く風の音のかそけきこの夕べかも」である。 法蓮町岡本邸門前の庭万葉歌碑(大伴家持) ●歌碑は、奈良市法蓮町岡本邸(佐保山茶論)前庭にある。 ●歌をみていこう。 ◆和我屋度能 伊佐左村竹 布久風能 於等能可蘇氣伎 許能由…

万葉の歌碑を訪ねて(その31改)―奈良市佐保台西町JR平城山駅前―万葉集 巻三 三〇〇

●歌は、「佐保過ぎて寧楽の手向に置く幣は妹を目離れず相見しめとそ」である。 JR平城山駅前万葉歌碑(長屋王) ●歌碑は、奈良市佐保台西町JR平城山駅前にある。 ●歌をみていこう。 奈良市歌姫町の添御懸坐(そうのみあがたにます)神社境内の歌碑と同じで…

万葉歌碑を訪ねて(その30改)―水上池北―万葉集 巻四 六七五

●歌は、「をみなえし佐紀沢に生ふる花かつみかつても知らぬ恋もするかも」である。 佐紀町水上池北歌碑(中臣女郎) ●歌碑は、水上池北面したところにひっそりと建っている。 ●歌をみていこう。 ◆娘子部四 咲澤二生流 花勝見 都毛不知 戀裳摺可聞 (中臣女郎…

万葉歌碑を訪ねて(その29改)―奈良県ヘリポートの東側―万葉集 巻三 二六七 <本日新元号『令和』が発表された>

●今日は、新元号が発表された。「令和」である。うれしいことに、出典は万葉集であった。 ●歌は、「鼯鼠(むささび)は木末(こぬれ)求むとあしひきの 山の獵夫 (さつお)にあひにけるかも」である。 田原春日野 奈良県ヘリポート東 万葉歌碑(志貴皇子) …