万葉集の歌碑めぐり

万葉歌碑をめぐり、歌の背景等を可能な限り時間的空間的に探索し、万葉集の万葉集たる所以に迫っていきたい!

2025-01-01から1年間の記事一覧

万葉集の世界に飛び込もう―万葉一日一葉(その3137)―国分寺万葉庭園(5)

●歌は、「すめろきの神の宮人(みやひと)ところづらいやとこしくに我(わ)れかへり見む」である。 ●歌碑(プレート)は、国分寺市西元町 国分寺万葉庭園(5)にある。 国分寺市西元町 国分寺万葉庭園(5)万葉歌碑(プレート)(作者未詳 7-1133) 20…

万葉集の世界に飛び込もう―万葉一日一葉(その3136)―国分寺万葉庭園(4)

●歌は、「野辺見ればなでしこの花咲にけり我が待つ秋は近づくらしも」である。 ●歌碑(プレート)は、国分寺市西元町 国分寺万葉庭園(4)にある。 国分寺市西元町 国分寺万葉庭園(4)万葉歌碑(プレート)(作者未詳 10-1972) 20251122撮影 ●歌…

万葉集の世界に飛び込もう―万葉一日一葉(その3135)―国分寺万葉庭園(3)

●歌は、「春日野に煙立つ見ゆ娘子らし春野うはぎ摘みて煮らしも」である。 ●歌碑(プレート)は、国分寺市西元町 国分寺万葉庭園(3)にある。 国分寺市西元町 国分寺万葉庭園(3)万葉歌碑(プレート)(作者不詳 10-1879) 20251122撮影 ●歌をみ…

万葉集の世界に飛び込もう―万葉一日一葉(その3134)―国分寺万葉庭園(2)

●歌は、「五月山卯の花月夜ほととぎす聞けども飽かずまた鳴かぬかも」である。 ●歌碑(プレート)は、国分寺市西元町 国分寺万葉庭園(2)にある。 国分寺市西元町 国分寺万葉庭園(2)万葉歌碑(プレート)(作者未詳 10-1953) 20251122撮影 ●歌…

万葉集の世界に飛び込もう―万葉一日一葉(その3133)―国分寺万葉庭園(1)

今回から、国分寺万葉庭園の歌碑(プレート)をもとに、歌にまつわる話や思い出等を気ままに書いていくことにしたい。 国分寺万葉庭園には、2025年11月22日(土)に訪れた。 前稿でも書いたが、同日午後から、明治大学で特別講義(万葉集ではなく小…

万葉集の世界へ飛び込もう(その3132)―書籍掲載歌を中軸に(Ⅴ)―挽歌語彙

【挽歌語彙】 「(巻三・四二九)(巻三・四七三)(巻二・八八)(巻二・八六)(いずれも歌は省略) 前の二首は巻三の挽歌だが、あとの二首は、・・・磐姫皇后の相聞歌四首のなかの二首だ。しかし、やはり、相聞という部立てから取り出してしまえば、相聞…

万葉集の世界へ飛び込もう(その3131)―書籍掲載歌を中軸に(Ⅴ)―雲

【排列の効果】 「・・・死ぬことを婉曲に言う効果を持っている語に『雲がくる』がある。巻三の挽歌から拾ってみる。 (巻三・四一六)(同・四四一)(同・四六一)(いずれも歌は省略) こうした挽歌を並べてくると、相聞歌に歌われている雲も、単に、相聞…

万葉集の世界へ飛び込もう(その3130)―書籍掲載歌を中軸に(Ⅴ)―挽歌語彙と排列

【儀礼的形式からの脱出】 「相聞歌と挽歌との交替にとどまらず、元来、羇旅歌(雑歌)だったものが挽歌として扱われている例―たとえば、巻二挽歌巻頭の有間皇子の歌など―もあり、編者の分類はけっしてその歌の成立の原点にたってのものではない。 特に挽歌…

万葉集の世界へ飛び込もう(その3129)―書籍掲載歌を中軸に(Ⅴ)―相聞歌か挽歌か

【相聞歌か挽歌か】 巻十一 二四五五歌では、「『高山』も『朝霧』も挽歌語彙とみることができるが、・・・巻十一の編者は、この歌を相聞歌とみて採用し、『寄物陳思』の標目の下に帰属せしめている。・・・意味が動揺し、解釈にゆれが生じる。 【詞書・部立…

万葉集の世界へ飛び込もう(その3128)―書籍掲載歌を中軸に(Ⅴ)―過ぎにけむかも

第十一章 死とその前後 【『過ぎにけむかも』】 「・・・本書においては、・・・主として、相聞歌と挽歌との交流を、挽歌語彙とも言うべき語を中心に、その一端を語っていきたいと思う。・・・ (巻十一・四二五五)(歌は省略) 『過ぎ』を挽歌語彙として扱…

万葉集の世界へ飛び込もう(その3127)―書籍掲載歌を中軸に(Ⅴ)―あかとき

【朝影の謎】 「『朝影にわが身はなりぬ』の『朝影』に話を戻すのだが、・・・『夕影にわが身はなりぬ』という例がなく、痩せた姿を言う譬喩としては、朝影だけしかない。・・・『かまかぎるほのかに見えて往にし子ゆゑに』という第三句以下についても、『万…

万葉集の世界へ飛び込もう(その3126)―書籍掲載歌を中軸に(Ⅴ)―紐

「『紐』になると、もっとはっきりと、兆しとして紐の解けることが歌われていて、 (巻十一・三一四五)(歌は省略) などがあり、この歌の系統も長く後世にまで続いていくのだが、ゆふ・とく・とけるなど、紐については、ことに万葉びとの民俗信仰が、濃く…

万葉集の世界へ飛び込もう(その3125)―書籍掲載歌を中軸に(Ⅴ)―一重結ふ帯を三重結ひ

【帯・紐にまつわる民俗信仰】 「恋の思いに痩せてしまったことを、衣類にかけて誇張して言う、『一重の帯が三重廻る』などという文句は、後世の歌謡類に見られる常套句だが、すでに『万葉集』にも『一重結ふ帯を三重結ひ』(一八〇〇)などという文句が出て…

万葉集の世界へ飛び込もう(その3124)―書籍掲載歌を中軸に(Ⅴ)―アサ・ヒル・ユフ

【アサ・ヒル・ユフ】 四一五〇歌には、『朝床』と『朝榜ぎ』と、・・・『朝』の複合語が、二語までも現れているのだが、いったい、万葉びとにとって、朝とは、どういう時であったのだろうか。 これについて、『日本古典文学大系』の『萬葉集・二』の補注が…

万葉集の世界へ飛び込もう(その3123)―書籍掲載歌を中軸に(Ⅴ)―家持のメランコリー

【信仰に根ざす季節感】 「万葉びとの生活にあっては、梅という植物は、まだ渡来そこそこのもので、春の植物という、約束的な季節感が出来上がっておらず、したがって、文学的素材としてはまだ春の植物になりきってはいなかったのだろう。また、雪の歌はまだ…

万葉集の世界へ飛び込もう(その3122)―書籍掲載歌を中軸に(Ⅴ)―冬と春の混乱

【冬と春の混乱】 「『万葉集』では、冬と春との混乱が見られるのであって、そこに、万葉びとの生活の反映を探ることが出来る。・・・ われわれの古典的な知識においては、四季の景物はきまっていて、雪は冬、梅は春である。・・・そういう、季節の題目は、…

万葉集の世界へ飛び込もう(その3121)―書籍掲載歌を中軸に(Ⅴ)―御冬

【秋の『御雪』】 「季節の名でありながら、『冬』がみふゆと言われているのも、みゆきの降る季節としての敬意が底にはあったとも言えるだろう。 (巻十七・三九〇一)(歌は省略) つきは原文『都芸』であるから、濁音でつぎと訓めば、冬に続いてということ…

万葉集の世界へ飛び込もう(その3120)―書籍掲載歌を中軸に(Ⅴ)―み吉野

【吉野の雪】 「(巻十三・三二九三・三二九四)(歌は省略) ・・・地名に「み」という接頭語が付くのは・・・み吉野・み越路・み熊野ぐらいのものだろう。・・・吉野と越路とについて言えば、ともに『み雪』の降るところであることが注意される。そして、…

万葉集の世界へ飛び込もう(その3119)―書籍掲載歌を中軸に(Ⅴ)―み雪

【伝承の素材としての雪】 「自然現象を明らかに無視して、つねに雪が降っていると言われているのは、吉野山もそうである。 (巻一・二五。或本の歌<二六>)(歌は省略) 吉野は、山と水とをもって、万葉びとにとっては忘れられないところだが、特に『み』…

万葉集の世界へ飛び込もう(その3118)―書籍掲載歌を中軸に(Ⅴ)―ゆき

第九章 み雪ふる秋 【み雪と深雪】 「・・・なぜ、特に雪について、敬意を示す接頭語が付いたのか。・・・四季の中で、どうして特に冬だけに御が付いて、御春・御夏・御秋とは言わなかったのか。・・・ みゆきという語には、やがて、深い雪という意味を感じ…

万葉集の世界へ飛び込もう(その3117)―書籍掲載歌を中軸に(Ⅴ)―境の神

【手向山の紅葉】 「・・・旅行者の途次の手向けわざも、・・・平安朝になると、ついにはなはだふざけたものになる。『古今集』の『羇旅歌』の巻末には、・・・菅原道真と素性法師との二首が並んでいる。 このたびは 幣も取り敢へず 手向山 紅葉の錦 神のま…

万葉集の世界へ飛び込もう(その3116)―書籍掲載歌を中軸に(Ⅴ)―逢坂山

「手向けの場所は無数に散在していたわけだが、大和の平城京を中心にした万葉びとの世界では、近江の琵琶湖畔に向う道の途中の、逢坂山(おうさかやま)が、別名を手向山と言われたほどに、印象が深かった。 (巻六・一〇一七)(歌は省略) これは、坂上郎…

万葉集の世界へ飛び込もう(その3115)―書籍掲載歌を中軸に(Ⅴ)―手向け

【手向けの場所】 「・・・手向けのむけも、きまった場所で、そこにいる精霊にものを与え、無事に通過させてもらうための、祭りであった。境になっている場所では、道が山を越えていくところが多く、そこが自然に手向けの場所となった。・・・半数の旅びとを…

万葉集の世界へ飛び込もう(その3116)―書籍掲載歌を中軸に(Ⅴ)―神への媚態

【羇旅歌と地名】 「旅を行く人々が、意識して通って行かねばならぬところが随所にあって、そこの神に対する挨拶がもとになった羇旅歌には、地名が多くよみこまれることになった、という背景は、まず考えておかなければならないであろう。事実、万葉びとの旅…

万葉集の世界へ飛び込もう(その3113)―書籍掲載歌を中軸に(Ⅴ)―神の蟠踞

第八章 御坂かしこみ 【神の蟠踞】 「前章に挙げた人麻呂の歌、 たまもかる敏馬(みぬめ)を過ぎてなつくさの野島が崎に船近づきぬ(巻三・二五〇) というのは、いかにも感動が希薄であって、五句の中、二句までを枕詞に使ってしまっていて、歌だからもちろ…

万葉集の世界へ飛び込もう(その3112)―書籍掲載歌を中軸に(Ⅴ)―伝承から歌枕へ

【歌わぬ異国の風物】 「・・・(天平)八年四月から翌年一月までの新羅往復の旅行は、『万葉集』巻十五の前半を埋めて、百四十五首の歌を記し留めている。・・・この壮観なる一大歌群を展望しても、一行の人々の歌は、対馬におけるものをもって終わっていて…

万葉集の世界へ飛び込もう(その3111)―書籍掲載歌を中軸に(Ⅴ)―望郷の歌

【望郷の歌】 「・・・国内において、ほとんど自由自在と思えるほどに、各地の風景を歌い、旅中の心境を洩(も)らした万葉びとが、一度日本を離れると、ぴたりと口をつぐんでしまうのだ.・・・万葉びとは、どうして、外地においては歌を作らなかったのだろ…

万葉集の世界へ飛び込もう(その3110)―書籍掲載歌を中軸に(Ⅴ)―万葉びとの旅

第七章 早く日本へ 【歌心を刺激した旅】 「万葉びとの旅には、もちろん後代の人々のような、物見遊山の旅行はなかった。・・・旅の目的が何であれ、日常居住の地を離れて、家族とも別れて、見知らぬ土地にあることは、家郷を憶(おも)う心を刺激し、また見…

万葉集の世界へ飛び込もう(その3109)―書籍掲載歌を中軸に(Ⅴ)―てこの呼び坂

【説話の種、てこの呼び坂】 「『万葉集』の中に散在している、説話の種子のようなものを探っていくと、じつにおびただしい。民謡などは、みな、と言っていいほどに、その背後に、叙事詩の存在が考えられるようだ。あるいは、歌物語のようなものがまずあって…

万葉集の世界へ飛び込もう(その3108)―書籍掲載歌を中軸に(Ⅴ)―包み井のをとめ

「(巻十四・三四三九)(歌は省略) 駅亭のあるところには、こんこんと湧き出る清い泉があり、そのほとりには、この水を管理する清らかなをとめがいると、万葉びとは空想していた。つつみ井というのは、土や石などで周囲をかためて、用水を湛(たた)えた、…