万葉集の歌碑めぐり

万葉歌碑をめぐり、歌の背景等を可能な限り時間的空間的に探索し、万葉集の万葉集たる所以に迫っていきたい!

ザ・モーニングセット181224(お茶碗について)

●今日のサンドイッチは、イングリッシュマフィンを使った。中味はサニーレタスと焼豚とトマトである。小鹿田焼の丸皿の中央にグラスに盛り付けたデザートを置いた。

 ご近所さんからいただいた広茎京菜をオブジェにした。元気いっぱいの野菜である。

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12月24日のモーニングセット

 デザートは、シャーベットグラス様の器にバナナ、みかんそしてぶどうを盛り付けた。内側には、キウイとブドウの輪切りを貼り付けヨーグルトを入れその天部を2色のぶどうの8分割を合わせたものを中央に、周りにみかんとバナナのスライスを飾り付け、干しブドウでアクセントをつけた。

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12月24日のデザート

 昨日は、信楽焼の茶壷の文字を解読してもらって、行きたいと思っていた木津川市山城町上狛の茶問屋街の話を書いたが、今日は、「お茶碗」について書いてみる。

 

●お茶碗

 茶壷はお茶の葉を入れるための壷という意味である。

「おちゃわん」と聞くとたいていは御飯を食べるお茶碗を思い浮かべるのではないか。御飯を食べるのに用いる碗に何故「茶」がついているのか。ふと疑問が頭をよぎる。

 お茶の道具に抹茶茶碗がある。これは抹茶を飲むための茶碗と目的を冠した言い方である。抹茶を飲むための碗なら抹茶碗で良さそうなものである。湯飲み茶碗もその例である。このようにお茶用の碗にさらに使う目的の物を冠した言い方はよくよく考えてみるとおかしなものである。

  「茶碗」を国語辞典(三省堂)で調べてみる。 

  ★ちゃわん「茶碗」(名) ①お茶を飲む陶器・磁器のうつわ。『②と区別して言うときは、茶のみ茶(ヂャ)わん』②ごはんを盛って食べる陶器・磁器のうつわ。『①と区別して言うときは、ごはん茶(ヂャ)わん』③コーヒー・紅茶を飲む、取っ手のついた陶器・磁器のうつわ。カップ。『コーヒー茶(ヂャ)わん』

 

 お茶を飲む、御飯を盛って食べるおわん状の陶器・磁器がわざわざ『茶碗』と総称されていることに不自然さを覚える。目的を冠して総称されるのであれば、お茶碗よりも御飯碗のほうが日常生活からみると自然ではないだろうか。何故御飯碗でなくお茶碗なのだろう。

 

 それを解く鍵は次の文献にある。

「やきものの技術者が朝鮮人なので、できあがったものの呼称が朝鮮語であったことが考えられる。少なくとも初期のころの名称は彼らが日常に呼びならわしていた用語そのもの以外は考えられない。それを知るのにひとつのてがかりになる書がある。淺川巧『朝鮮陶磁名考』である。その一文を紹介する。『日本に渡っている所謂茶碗の多くは、本来が茶用の器でない。朝鮮ではそれを何んと呼んだかと云うに、磁碗(チャワン)または沙茶碗(サチャワン)と書いて、(中略)現代の飲喰い茶碗か、それより少々大きい位のものである。ところがこの磁の字がchaとよまれるので。我が茶の字と同音である関係上、茶に置き換えられたものと思われる。その理由として日本には飯喰茶碗、茶呑茶碗など不合理な名称がある。この場合茶碗の茶の字を磁(チャ)に改めたら意味があきらかになる』(鄭大聲著「食文化の中の日本と朝鮮」講談社現代新書

 「茶」という響きは独特のものがある。実にうまく字を当てはめたものである。

 「茶碗といえば現在では碗形のもので、用途とすれば、抹茶碗、煎茶碗、湯飲み茶碗といった飲用とご飯茶碗のようなものを指すが、かつてはそうではなかった。『君臺観左右帳記』の中では、『茶垸之事』として青磁を青い『ちゃわん』、白磁を白い『ちゃわん』と著し、一方で『土之物』として現在でいう天目茶碗が、曜変、油滴、建盞といった順にならべられる。これでみると『茶碗=ちゃわん』が室町時代まで磁器のことであったことが分かる。茶碗を磁器のこととする考え方は室町時代後期になると曖昧になってくるようである。」(矢部良明編「やきものの鑑賞基礎知識」至文堂)

「ちゃわん」とは「磁器製のわん」ということである。抹茶茶碗とは抹茶を飲むための磁器製の碗である。これならすっきりする。

 

●碗と椀

 ところで「碗」という字をこれも何気なく使っているがこれは俗字である。正字は「椀」である。「椀」は宛「ワン」が音を表し、えぐり取る意味の語源「剜」(ワン、えぐる、けずる)からきている。中をえぐり取って、物を入れるようにした木の容器、わんの意味である。木をえぐり器を作り、やがて土器、陶磁器で椀状のものを作るようになり石のように硬いところから「木」に替え「石」へんの「碗」をつくったのであろう。