●雨上がりの朝。サンドイッチは、ウィンナーソーセージとロメインレタスである。ラディッシュを添えた。
デザートは、リンゴの縦切りに切り込みをいれ、蝶を模した。翅の模様はブドウで、からだは干しブドウで。周りにはバナナのスライスとブドウを飾った。
●徳利とお猪口
正月に日本酒はつきものと書いたが、日本酒は温度領域が幅広いので飲むための容器も多種多様で奥が深いものである。
お酒は燗で、とよく聞くが、徳利とお猪口の出番であることが多い。
「徳利」、トックリ。この語感や音の響き、構成されている漢字の意味からもお酒を入れる容器のイメージとかけ離れている。「トックリ」と聞くや、口がすぼんだ細長い一合徳利や二合徳利の形状やその果たす役目などが瞬時に浮かぶが、「徳」「利」と漢字の意味を考えていくとイメージを形成するのが難しくなる。
「猪口」もしかり。チョク、あるいはチョコと聞いてお酒を飲むための小さな器がイメージされるが、「イノシシのクチ」と考えると、ハテナ?である。横にした形は確かに猪の口に似ている。 今年の干支は猪である。お猪口は猪と関係があるのか?
●徳利
日常的に「とっくり」といっているので余り疑問を感じないが、じっくり考えてみると「徳」と「利」の漢字の構成からみても意味が判別できない。漢字は表音と表意文字である。漢字をにらんでいても、あの口の細くなったやや下膨れの「徳利」という器物は想像できない。「とっくり」という音を聞いて頭の中に「とっくり」=「あの口の細くなったやや下膨れのお酒をいれお猪口に注ぐ器」が認識されるのである。
お酒を注ぐ時の「トクトク」という音から生じたとも言われているが、なにかこじつけのような感じが強い。
甕器のことを朝鮮語では「トックルッ」という。語源的にはこの方が納得しやすい。
少し脱線するが、徳利の形についてであるが、我が国の場合は、首のくびれから下の胴部はずんどうになった形が多い。お隣の韓国の李朝時代の形は首のくびれの下から下膨れになっているものが多い。お酒と色気はつきもの。この両者の形は、女性の衣装即ち、我が国の場合は着物姿、お隣はチョゴリ姿の女性のフォルムが原点になっているのではなかろうか。
●お猪口
「ちょく」「ちょこ」もしかり。「鍾」ショウは「チョング」と発音される、またさかずき、つりがねという意味もある。釣鐘を逆さにした形の器、口が広く尻がすぼんだ形が原型となっていると見るのが妥当である。
しかし、「猪の口」とは実にうまい表現である。うまく字を充てたものである。
陶磁器の名称がこのように朝鮮語がそのまま使われていることが多いのは朝鮮とのかかわり、陶磁器の技術が主に朝鮮から渡ってきたからと見るのが自然の流れであろう。
しかし、「磁」に「茶」、「トックル」に「徳利」、「チョング」に「猪口」と言う漢字を当てたのは先人の文化的な知恵と言えるだろう。
●徳利とお銚子
最近ではお銚子といえば徳利のことをさしているが、もともとは、今でも神社での結婚式などで使われる長柄のついた蓋付の柄杓(ひしゃく)のようなものをいい、金属製、漆器などがあり、これでお酒を注いだのである。徳利とは口がすぼみ細長いものが多くお酒やしょう油、酢を貯えるものに用いたものである。貯蔵が主体であったので一升から三升くらいの「大徳利」をさしていた。江戸時代中頃から1合、2合入りの徳利が普及し始め、直接盃に注ぐようになり、盃に直接お酒を注ぐことから、銚子と徳利が言葉として混同して使われるようになったのである。