万葉集の歌碑めぐり

万葉歌碑をめぐり、歌の背景等を可能な限り時間的空間的に探索し、万葉集の万葉集たる所以に迫っていきたい!

ザ・モーニングセット190108(万葉の小径シリーズーその3 あぢさゐ)

●今日のサンドイッチは、レタスとベーコンを交互に挟んだ。信楽焼の長方皿に盛り付けた。

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1月8日のモーニングセット

 デザートは、りんごの飾り切りを2つ作り中心から斜め上方向に左右に配した。りんごの飾り切りはインパクトがある。みかんの輪切りを中心部下方におき、輪切りを半分に切ったものを中心部上方においた。2色のぶどうの合わせと干しブドウを使い周りに並べた。

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1月8日のデザート

 この手のサンドイッチモーニングは、以前の東京単身赴任時代から続けている。完全にルーティン化している。自分でもよく続けられるものだと感心している。

 今日の万葉小径シリーズは、あぢさゐである。

 

●万葉の小径シリーズーその3 あぢさゐ

 

紫陽花(あじさい)の 八重咲く如く やつ代にを いませわが背子 見つつしのはむ

                        (橘諸兄 巻二〇 四四四八)

 

「安治佐為能 夜敝佐久其等久 夜都与尓乎 伊麻世和我勢故 美都ゝ 思努波牟」

  右一首左大臣寄味狭藍花詠也

 

あじさいが幾重にも咲いているように、幾代も生きてください、あなた、いつもいつもお姿をお慕いしていますから

 

ガクアジサイは梅雨時に房状の青紫色の花を咲かせる落葉低木で、万葉集に二度歌われている。一本の木に、まるで木を覆い尽くすようにたくさんの花が咲くので、「八重咲く」と表現した。他の花に「八重咲く」の形容がなく、ただ、白波が次々と岸に押し寄せて来る様子を「八重折る」とは歌っているので、あちこちに花が盛り上がっている様を「八重咲く」と見たのであろう。また、花は特定はしていないが、花の咲き揃う様を「七重花咲く八重花咲く」とも歌っているので、花が豪華にこぼれんばかりに咲く様子と受け取れる。

この歌は天平七歳五月十一日に平城京に於いて、右大弁丹比真人国人(うだいべんたじひのまひとくにひと)の宅で、左大臣橘卿(橘諸兄:たちばなもろえ)を中心とした宴会の席で歌われたものである。主人の国人は橘卿の来席に感謝し、諸兄をなでしこの花のように素敵な人であると讃えた。それに応えて橘卿が国人の寿を願って、あじさいの花のようにいつまでも元気であってほしいと歌ったものである。「やつ代」は、八重を受けて八つ代(何代にもわたって)とも、彌つ代(幾年月の代まで)ともいう。                    (万葉の小径 あぢさゐの歌碑)

 

●四四四六から四四四八までの三首がこの宴の一連の歌である。

 

    同月十一日左大臣橘卿宴右大辨丹比國人真人之宅三首 

和我夜度尓(わがやどに) 佐家流奈弖之故(さけるなでしこ) 麻比波勢牟(まひはせむ) 由米波奈知流奈(ゆめはなちるな) 伊也乎知尓左家(いやをちにさけ)

                               (四四四六 )

 

我が家の庭に咲いているなでしこよ 大事にするので決して花を散らさないで何度でも咲いてください

 

    右一首丹比國人真人壽左大臣

麻比之都ゝ(まひしつつ) 伎美我於保世流(きみがおほせる) 奈弖之故我(なでしこが) 波奈乃未等波無(はなのみとはむ) 伎美奈良奈久尓(きみならなくに)

                                ( 四四四七)

 

大事にしているとあなたがおっしゃるなでしこの花だけで(お邪魔するのでは)なくあなたがおいでになるからですよ

 

(参考文献)

★万葉の小径 あぢさゐの歌碑

★「萬葉集」 鶴 久・森山 隆 編 (桜楓社)