●サンドイッチの中味は、サンチュと焼豚である。4分割しグラタン皿に盛り付けた。サンドイッチが窮屈そうであるが、弁当箱に入れたようなイメージである。
デザートは、容器の下の方のヨーグルトを皿に移し替えようとすると、ボスッと皿に滑り落ちた。底面部があまりにも滑らかな状態のままであったのでヨーグルトを崩さず活かすことにした。みかんの輪切りを半分にしたものを4つ使い周辺に配し、その角にバナナを使った。白さを強調するためプルーンを縦切りに細く切ったものを飾り、中央には2色のぶどうの切り合わせを一つぽつんと置いた。周囲にはぶどうを使ってバランスをとった。
今日の万葉の小径の歌碑の紹介は「ねぶ」である。
●万葉の小径シリーズ-その23 ねぶ ネムノキ
昼は咲き 夜は恋ひ寝る 合歓木(ねぶ)の花
君のみ見めや 戯奴(わけ)さへに見よ
(紀女郎 巻八 一四六一)
晝者咲 夜者戀宿 合歓木花 君耳将見哉 和氣佐倍尓見代
昼は花も葉も開き、夜は葉を閉じて眠ったような合歓木の花、とてもすばらしいので私一人で見るのはもったいないですよ。あなたも一緒に見ましょうよ。
「ネムの木は、雨の時や夜には対生(たいせい)している葉を合わせたようになる。それがまるで眠っているように見えるので、ねむのきという。木は落葉高木で、七月に入る綿毛が伸びたような紅色の花を咲かせる。この歌は、紀女郎(きのいらつめ)が自分のことを君(主人)と言い、歌を贈った相手である大伴家持のことを戯奴(わけ)(従者)と呼んでいるので、戯れ心の歌である。それゆえ、合歓木を見に来られませんかと誘う裏には、ネムの木だって恋い寝るのだから、私たちもその花のように共寝をしましょうよと、恐らくは年上の紀女郎が若い家持に戯れかけた心が見られる。なお、ネムは万葉集ではすべてネブというが、古代の「ねぶり」が「ねむり」と代わり、「けぶり」が「けむり」と今日呼ばれることと同じことである。
万葉集においては、わずか三首しか合歓木は見られないが、「しなひ合歓の木」などと歌われていて、ネムの木の特徴をよくとらえ得たことばもある。萩等と同じく枝から垂れ下がったマメのような実がよく目につくので、合歓木の実もまた興味を引いていた。
(万葉の小径 ねぶの歌碑)
題詞は、「紀女郎贈大伴宿祢家持歌二首」とあり、一四六〇と一四六一がある。これに対し、次の二首の題詞は、「大伴家持贈和歌二首」とある。家持と紀女郎の贈答歌である。
戯奴之為(わけがため) 吾手母須麻尓(あがてもすまに) 春野尓(はるののに)
抜流茅花曽(ぬけるつばなぞ) 御食而肥座(めしてこえませ)
(紀女郎 巻八 一四六〇)
あんたのために手を休めずに春の野で抜いたチガヤの花ですよ しっかり食べて身につけてね
吾君尓(あがきみに) 戯奴者戀良思(わけはこふらし) 給有(たばりたる)
茅花乎雖喫(つばなをはめど) 弥痩尓夜須(いややせにやす)
(大伴家持 巻八 一四六二)
わたくしのあんたは恋をしているらしい いただいたチガヤの花を食べても痩せる一方です
吾妹子之(わぎもこが) 形見乃合歓木者(かたみのねぶは) 花耳尓(はなのみに)
咲而蓋(さきてけだしく) 實尓不成鴨(みにならじかも)
(大伴家持 巻八 一四六三)
あなたの形見の合歓の木は花のみで、咲いても実にならないかもしれない
紀女郎の誘いを家持は軽くいなしている歌である。紀女郎の心情はいかばかりかと察せられるが、このようにある意味ストレートにもとれるが、歌でスマートに振られると深刻さも和らぐのではと思われる。
(参考文献)
★万葉の小径 ねぶの歌碑
★「萬葉集」 鶴 久・森山 隆 編 (桜楓社)