万葉集の歌碑めぐり

万葉歌碑をめぐり、歌の背景等を可能な限り時間的空間的に探索し、万葉集の万葉集たる所以に迫っていきたい!

ザ・モーニングセット190208(万葉の小径シリーズーその30さきくさ)

●今日のサンドイッチは、サンチュと焼き豚。備前焼の丸皿に盛りつけた。セロリの葉っぱを飾りに使った。

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デザートはサンフジの赤みを活かそうと、中心に2色のぶどうの切り合わせを置きりんごの縦切りを十字にセット、倒れないようにバナナの輪切りを配し、その上にもぶどうを飾った。

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今日の万葉の小径シリーズは「さきくさ」である。

●万葉の小径シリーズーその30 さきくさ ミツマタ

春されば まづ三枝(さきくさ)の 幸(さき)くあらば

後(のち)にも逢はむ な恋ひそ我妹(わぎも)

(柿本朝臣人麿歌集 巻十 一八九五)

春去 先三枝 幸命在 後相 莫戀吾妹

春になるとまず三枝(さきくさ)の花が咲く。そのさきのように無事でいたら、また後に逢うことができるのだから、あなたよ、そんなに恋の思いに苦しむなよ。

「さきくさは、一説にはヤマユリやササユリを指すかともするが、春になるとまず咲く花としては、ミツマタかと見る説がもっともふさわしい。ミツマタは落葉低木で、その名の通り枝はすべて三つに分かれて伸びており、春三月、葉が生え始める前に薄い黄色の花を咲かせる。コウゾやガンピとともに和紙の原料となるので、古来、珍重された植物であった。

さきくさは、春の到来を告げる花であるばかりでなく、さきという音によっても好ましいものであった。言葉に霊力のあった時代、人はさきくさのさきという言葉を口にするだけで、言霊の力によって無事を保障されると信じていた。

恋とは、今、目の前にないものを慕う気持ちをいうので、「な恋ひそ」は、逢えないからといってそんなに悩むなよという意味である。妹や我妹(わぎも)や我妹子(わぎもこ)は、いずれも男が自分の思い人に呼びかける表現であり、女性の使う背(せ)や背子(せこ)や我背子(わがせこ)などと対応し、いずれも、今日のあなたに相当する。「な恋ひそ我妹」の呼び掛けもまた「な思い我背」と対になっている。」

(万葉の小径歌碑「さきくさ」)

ミツマタ」は、冬になれば葉を落とす落葉性の低木であり、ジンチョウ科のミツマタ属に属する。中国中南部・ヒマラヤ地方が原産地とされる。3月から4月ごろにかけて、三つ叉に分かれた枝の先に黄色い花を咲かせる。そのため、「ミツマタの花」は日本においては仲春(啓蟄[3月6日ごろ]から清明の前日[4月4日ごろ]まで)の季語とされている。皮は和紙の原料として用いられる。(ウィキペディア

大神神社(おおみわじんじゃ)の「率川(いさがわ)神社 」のお祭りに、三枝祭(さいくさのまつり)がある。昔、御祭神姫蹈韛五十鈴姫命(ひめたたらいすずめのみこと)が三輪山のほとりにお住みになり、その付近には笹ゆりの花が美しく咲き誇っていたと伝えられ、その御縁により、後世にご祭神にお慶びいただくために酒たる罇に笹ゆりの花を飾っておまつりするようになったと言い伝えられています。(率川神社HP)

さいくさのまつりはゆりまつりとも言われるとある。

「先三枝」がポイントのようである。まず咲くとあるからミツマタであるとされているが、「さきくさの」が「幸」のさきに掛かるとみて、先の語と後の語は対として、ゆりまたはひめゆりと考えてはいかがだろうか。

参考文献

★万葉の小径歌碑「さきくさ」

★「萬葉集」 鶴 久 森山 隆 編 (桜楓社)

★「ウィキペディア

★「率川神社HP」