万葉集の歌碑めぐり

万葉歌碑をめぐり、歌の背景等を可能な限り時間的空間的に探索し、万葉集の万葉集たる所以に迫っていきたい!

ザ・モーニングセット&フルーツデザート190222(万葉集時代区分・第2期<その2>)

●朝のルーティンワーク!サンドイッチ作った。皿に盛り付けた。集団登校する小学生たちがお向かいのお宅の前に集まっている。さあ、今日も元気で頑張ろう。

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2月22日のモーニングセット

 デザートは、ヨーグルトの上にまずハッサクのスライスをのせ、イチゴを飾る。真ん中には、イチゴと緑のブドウの合わせ切りを置いた。イチゴの半分使いを中心にブドウを飾っていく。フルーツの香りは気持ちを穏やかにさせてくれる。

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2月22日のデザート

 万葉集時代区分シリーズも結構回を重ねてきた。今日は、第2期(その2)である。

 

万葉集第2期(その2)

 

 この時期の代表的歌人である柿本人麻呂について少し触れてみることにしたい。

いうまでもなく、柿本人麻呂は宮廷歌人といわれている。藤原京文武天皇の時代にかけて、律令国家の完成期であり、天皇の絶対権が確立した時代にいたので、天皇行幸にお供して行って、詔に応じた歌を作る。皇族が亡くなられたときにはお弔いの歌を作るのである。こういう場合は自分の感情で歌を作るのではなく、「公の立場」で歌を詠むのである。

 

 持統天皇は、吉野に行幸を689年から701年の間に、32回も行っている。天皇にとっては、夫の天武(天皇)と苦労を共にした思い出深い場所である。行幸のお供をした柿本人麻呂の歌を挙げてみる。

 

 注:「なら旅ネット<奈良県観光公式サイト>」によると、「宮滝遺跡」について、

   「吉野川の両岸は巨岩奇石でおおわれ、水の流れはエメラルド色。付近から縄文

   時代以降の遺構・遺品が出土しています。天武・持統天皇がたびたび訪れた吉野

   の宮跡といわれ、近年、それを裏付ける建物跡の一部が出土しました」とある。

 

 (題詞)幸于吉野宮之時柿本朝臣人麻呂作歌

  • 八隅知之(やすみしし) 吾大王之(わがおおきみの) 所聞食(きこしをす) 天下尓(あめのしたに) 國者思毛(くにはしも) 澤二有雖有(さはにあれども) 山川之(やまかはの) 清河内跡(きよきかふちと) 御心乎(みこころを) 吉野乃國之(よしののくにの) 花散相(はなぢらふ) 秋津乃野邊尓(あきづののへに) 宮柱(みやばしら) 太敷座波(ふとしきませば) 百磯城乃(ももしきの) 大宮人者(おほみやひとは) 船並弖(ふななめて) 旦川渡(あさかはわたる) 舟競(ふなぎほい) 夕河渡(ゆふかはわたる) 此川乃(このかはの) 絶事奈久(たゆることなく) 此山乃(このやまの) 弥高思良珠(いやたかしらす) 水激(みづはしる) 瀧之宮子波(たぎのみやこは) 見礼跡不飽可問(みれどあかぬかも)

                         (柿本人麻呂 巻一 三六)

     反歌

  • 雖見飽奴(みれどあかぬ) 吉野乃河之(よしののかはの) 常滑乃(とこなめの) 絶事無久(たゆることなく) 復還見牟(またかへりみむ)

                         (柿本人麻呂 巻一 三七) 

      注:アンダーラインは枕詞

 

 長歌のおおよその意味は、「わが天皇のお治めになる天下に、国は多くあるが、山も川も清らかなところと御心を寄せられる吉野の国に花が舞い、秋津の地に柱も太く立派な宮を建てられたので、大宮人たちは船を並べて朝に川を渡り、船を競って夕べに川を渡る。この川が絶えることなく、この山がますます高くなるように水が激しく流れる瀧の宮はいつ見ても飽きないものだ」と吉野の宮をほめたたえ、そしてそれを通して持統天皇をほめたたえているのである。

 反歌の意味は、「見飽きることのない吉野の川の滑らかさが絶えることがないように、またまた繰り返しみてみよう」と吉野の川をほめつつ持統天皇をほめたたえているのである。

 

 巻一 三八の長歌長歌は省略するが、その反歌を見てみる。

 

◆山川毛(やまかはも) 因而奉流(よりてつかふる) 神長柄(かむながら) 多藝津河内尓(たぎつかふちに) 船出為加母(ふなでせすかも)

                      (柿本人麻呂 巻一 三九)

 山川も仕える神である(大君)は、水が逆巻く流れに船をだされる、と持統天皇をほめたたえている。

 このように、情景を描写しつつ、私情でなく「公の立場」で天皇をたたえる歌を見事に詠んでいるのである。

 

(参考文献)

★「萬葉集」 鶴 久・森山 隆 編 (桜楓社)

★「別冊國文學 万葉集必携」 稲岡耕二 編 (學燈社

★「太陽 特集・万葉集」 (平凡社

★「万葉の人びと」 犬養 孝 著 (新潮文庫

★「なら旅ネット」<奈良県観光公式サイト>