万葉集の歌碑めぐり

万葉歌碑をめぐり、歌の背景等を可能な限り時間的空間的に探索し、万葉集の万葉集たる所以に迫っていきたい!

万葉歌碑めぐりには、奈良女子大学の「万葉歌碑データベース」は欠かせない(万葉歌碑を訪ねて―その82―)

●万葉歌碑めぐりには、奈良女子大学の「万葉歌碑データベース」は欠かせない。

 

●サンドイッチは、ロメインレタスとパックハムである。ロメインレタスのシャキシャキ感が眠気を吹き飛ばしてくれる。デザートは、りんご、トンプソン、レッドグローブそしてキウイである。昨日ご近所さんからいただいた大根の花つきをカットして水のつけておいたら少ししおれかけていた花も完全復活。朝食の飾りに使った。

f:id:tom101010:20190519233601j:plain

5月19日のザ・モーニングセット

f:id:tom101010:20190519233639j:plain

5月19日のフルーツフルデザート

●万葉歌碑を訪ねて―その81―

  「君があたり 見つつも居らむ 生駒山雲なたなびき 雨は降るとも」

f:id:tom101010:20190520002037j:plain

奈良県生駒市芸術会館美楽来(作者未詳)

この歌碑は、生駒市西松ヶ丘 芸術会館美楽来にある。

 

 奈良市HPの「万葉ゆかりの地を訪ねて~万葉歌碑めぐり~」を参考に、ほぼほぼ万葉歌碑を見て来た。さらに天理市HPも参考にし、現在は桜井市に及んでいる。近辺に見落としはないかと「奈良女子大の万葉歌碑データベース」を探る。

 同データベースには、次のように紹介されている。「このデータベースは、奈良女子大学地域貢献特別事業『万葉故地の確定・データ化と歴史的景観再現事業』による成果をもとに、学生たちが万葉歌碑を訪ね、撮影した写真などをもとに作成されています。

古代、奈良盆地の南と北に都が置かれ、多くの土地が万葉集に詠まれました。現在、奈良県内には数多くの万葉歌碑が建立されています。それらのすべてが必ずしも万葉歌が詠まれた場所に建てられているとは言えませんが、万葉集を土地に即して、詠まれた場所とのかかわりを通じて理解するには、これらの歌碑の存在は助けとなるといえます。そこで万葉歌碑を訪ねる際に活用できるように、地図上で表示できるデータベースにしました。今後、歌の現代語訳および解説を順次加えていきます。」とある。

 強力な助っ人である。マップも作成されている。このマップを参考に近隣を探ってみると生駒山周辺に結構歌碑があることが分かった。このマップをベースに計画をたてる。

 芸術会館美楽来、生駒山頂公園、生駒市役所、四季の森公園の順に見ていく計画をたてる。

 芸術会館美楽来(みらく)の駐車場に車を止める。これまでの経験では、こういう会館等では歌碑は、たいてい前庭にあるのだが、周辺を見渡すが見つからない。思い切って会館の中に入ってみる。ガラス越しに中庭が広がっている。ざーと見通すがありそうにない。受付窓口で訪ねてみる。女性職員のかたが、「こちらです」と、中庭へのカギをあけ案内していただく。飛び石を渡り右手の小山を少し回り込む。「これが歌碑です」と。見るとこれまで見て来た歌碑と比べれば十分の一くらいの大きさである。お礼を述べ写真を撮る。これは案内していただかないと見つけられない。写し終え、受付窓口に寄り改めてお礼を言って会館を後にした。(4月26日)

 

歌をみてみよう。

◆君之當 見乍母将居 伊駒山 雲莫蒙 雨者雖零

                (作者未詳 巻十二 三〇三二)

≪書き下し≫君があたり目つつも居(を)らむ生駒山雲なたなびき雨は降るとも

(訳)我が君の家のあたりを見やりながらお待ちしていよう。あの生駒山に、雲よ、たなびかないでおくれ。たとえ雨は降っても。

 

 萬葉集には、「生駒山」は七首収録されており、そのうちの一首である。

 堀内民一氏は「大和万葉―その歌の風土」の中で、「生駒山を遠く見て、あの辺があの人の住んでいる辺かと思っている。この歌、『伊勢物語』二十三段にもあらわれている。」と書かれている。

 伊勢物語の歌は、「君があたり目つつも居(を)らむ生駒山なかくしそ雨は降るとも」である。

 相思相愛で結婚するも男に河内国高安に「いきかよふ所」ができたのである。しかし奥さんは「悪しと思へる気色もなく」送り出してくれるので、「こと心あり」と疑い、行くふりをして様子をみていると、奥さんは、「かぜ吹けばおきつしら波たつた山よはにや君がひとり越ゆらむ」と歌を詠んだのを聞き、「かぎりなくかなしと思ひ」高安に行かなくなったのである。これに対して、高安の女が詠んだ歌が「君があたり」である。男もこの情にほだされ「来む」という返事をだすが、結局は通わなくなってしまうというストーリーである。

 万葉集の歌を踏まえ伊勢物語はストーリーを展開させている。

「雲なかくしそ」と万葉集よりもより強く気持ちを打ち出し、男の気持ちを手繰り寄せているのである。

 歌は心の叫びである。

 

 

 

(参考文献)

★「萬葉集」 鶴 久・森山 隆 編 (桜楓社)

★「万葉集 三」 伊藤 博 著 (角川ソフィア文庫

★「大和万葉―その歌の風土」 堀内民一 著 (創元社

★「万葉歌碑データベース」(奈良女子大学