●歌は、「大坂を我が越え来れば二上にもみち葉流るしぐれ降りつつ」である。
前日、グーグルアースで、コンビニの横に立っている歌碑を確認している。穴虫交差点近くの165号線沿いである。
香芝市総合体育館、中央公民館の歌碑を見て回り、穴虫峠に向かう。飲み物をコンビニで調達しようと考えていたが、到着すると、コンビニは閉鎖されていた。コンビニへの入り口スペースに車をとめ簡単な昼食にする。飲み物はお預けである。
車を降り、歌碑を見に行く。今まで見て来た歌碑の中では最も背が高い。見上げる高さである。
●歌をみていこう。
◆大坂乎 吾越来者 二上尓 黄葉流 志具礼零乍
(作者未詳 巻十 二一八五)
≪書き下し≫大坂(おほさか)を我(わ)が越え来(く)れば二上(ふたかみ)に黄葉(もみじ)流るしぐれ降りつつ
(訳)大坂を私が越えてやって来たところ、二上山にもみじ葉がはらはらと舞っている。時雨が降り続くので。(伊藤 博 著 「萬葉集 二」 角川ソフィア文庫より)
(注)大坂:二上山の北を越える穴虫越か。南を越える竹内越ともいう。
万葉歌碑の横に、香芝市の説明案内板が立てられている。これによると、「穴虫峠を指すとするの妥当であり、同地内には(中略)「大坂山口神社が鎮座し、また峠近辺には「おおざか」という小字名も存在する。」とある。
堀内民一氏は、「大和万葉―その歌の風土」の中で、「大坂峠を自分がこえてくると、二上山に時雨がザ~っと降ってきて、黄葉が時雨にまじって散る。という歌。『もみぢ葉流る』というところに、時雨降る大坂峠の光景が、旅情そのものとして歌われている。しぐれに濡れて大坂峠をこえる旅びとが、二上の谷あいを見上げて行く。そんな姿がうかんでくる。」と書かれている
●二上山を詠った歌を上げてみる。
◆宇都曽見乃 人尓有吾哉 従明日者 二上山乎 弟世登吾将見
(大伯皇女 巻二 一六五)
≪書き下し≫うつそみの人にある我(あ)れや明日(あす)よりは二上山(ふたかみやま)を弟背(いろせ)と我(あ)れ見む
(訳)現世の人であるこの私、私は、明日からは二上山を我が弟としてずっと見続けよう。(伊藤 博 著 「万葉集 一」 角川ソフィア文庫より)
◆木道尓社 妹山在云 玉櫛者 二上山母 妹許曽有来
(作者未詳 巻七 一〇九八)
≪書き下し≫紀伊道(きぢ)にこそ妹山(いもやま)ありといへ玉櫛筍二上山も妹こそありけれ
(訳)紀伊路(きじ)に妹山はあると世間では言うけれど、ここ大和の二上山にも妹山があったのに。(伊藤 博 著 「万葉集 二」 角川ソフィア文庫より)
◆二上尓 隠経月之 雖惜 妹之田本乎 加流類比来
(作者未詳 巻十一 二六六八)
≪書き下し≫二上(ふたかみ)に隠(かく)らふ月の惜(を)しけれど妹が手本(たもと)を離(か)るるこのころ
(訳)二上の山に隠れてゆく月が名残惜しくてならぬように、まことに心残りなことだが、あの子の手枕からずっと遠ざかったままのこのごろだ。(伊藤 博 著 「万葉集 三」 角川ソフィア文庫より)
(参考文献)
★「萬葉集」 鶴 久・森山 隆 編 (桜楓社)
★「大和万葉―その歌の風土」 堀内民一 著 (創元社)
★「市内の万葉歌碑紹介」 香芝市HP
●本日のザ・モーニングセット&フルーツフルデザート
サンドイッチは、レタス、トマトそして焼き豚である。デザートは、グレープフルーツ(ルビー)の横切りを中央に配し、スイカの切片を4つ飾った。周りは、トンプソンとクリムゾンシードレスの切合わせを中心に加飾、干しぶどうをアクセントに使った。グレープフルーツ(ルビー)とスイカの赤の色彩差を景色にした。