●歌は、「巨椋の入江響むなり射目人の伏見が田居に雁わたるらし」である。
●歌をみてみよう。
◆巨椋乃 入江響奈理 射目人乃 伏見何田井尓 鴈相良之
(作者未詳 巻九 一六九九)
≪書き下し≫巨椋(おほくら)の入江(いりえ)響(とよ)むなり射目人(いめひと)の伏見(ふしみ)が田居(たゐ)に雁(かり)渡るらし
(訳)巨椋の入江がざわざわと鳴り響いている。射目人の伏すという伏見の田んぼに、雁が移動してゆくのであるらしい。(伊藤 博 著 「万葉集 二」 角川ソフィア文庫より)
(注)巨椋の入江:宇治市の西にあった巨椋(おぐら)池。(伊藤脚注)
(注)いめひとの【射目人の】〔枕〕:射目人は伏して獲物をねらうので「伏見」にかかる。(広辞苑無料検索)
(注)たゐ【田居】名詞:①田。たんぼ。②田のあるような田舎。(weblio古語辞典 学研全訳古語辞典)
「巨椋(おぐら)」という地名に関しては、京滋バイパスに「巨椋IC」がある。宇治方面を走ると久御山ICの次のICである。近鉄京都線に「小倉駅」(京都府宇治市小倉町神楽田)がある。小倉の次の次の駅は「伏見桃山駅」である。普段何気なく通過している漠然と名前が頭にあったが、ぐっと身近になった感じである。時間軸は千年を超える開きがあるが、空間軸はさほどの開きがないと考えるだけで、万葉びとに近づけたような感動を覚えるのである。
題詞は、「宇治河作歌二首」<宇治川にして作る歌二首>である。
もう一首の方もみておこう。
◆金風 山吹瀬乃 響苗 天雲翔 鴈相鴨
(作者未詳 巻九 一七〇〇)
≪書き下し≫秋風に山吹の瀬の鳴るなへに天雲(あまくも)翔(かけ)る雁に逢(あ)へるかも
(訳)秋風が、山吹の瀬の瀬音が鳴り響く折も折、はるか天雲の彼方(かなた)を飛びかける雁の群れにであった。(伊藤 博 著 「万葉集 二」 角川ソフィア文庫より)
(注)なへ 接続助詞《接続》活用語の連体形に付く。〔事柄の並行した存在・進行〕…するとともに。…するにつれて。…するちょうどそのとき。
アスピアやましろの万葉歌碑がすんなり見つかった。幸先良しである。駐車場でナビに「荒見神社」とセットする。ナビ通り国道24号線を北上する。指示通り左折。15分ぐらいで現地到着。
駐車場に車を止め、鳥居をくぐる。境内を探す。しかし見つからない。拝殿から本殿脇を通りさらに奥に進む。歌碑らしいものがあったが良く見ると違う。見落とすまいと左右を見まわしながら駐車場まで戻る。
車に戻り検索し直す。まさか!またか!である。目の前の荒見神社は、城陽市の荒見神社である。
気を取り直し、ナビをセットし直す。国道1号線から脇道に入ると、神社までは、またしても車幅一杯程度の道が続くのである。しかも縫うように走らざるを得ない。約15分のドライブで到着。やれやれである。
(参考文献)
★「萬葉集」 鶴 久・森山 隆 編 (桜楓社)
★「weblio古語辞典 学研全訳古語辞典」
●本日のザ・モーニングセット&フルーツフルデザート
サンドイッチは、レタスと焼き豚である。8等分に切り、市松模様に並べた。デザートは、バナナとブドウである。ブドウの切合わせを主に配し、干しぶどうをアクセントに使った。
※ 20240126一部改訂