●歌は、「浅緑染め懸けたりと見るまでに春の柳は萌えにけるかも」である。
●歌碑は、京都府城陽市寺田 正道官衙遺跡公園 №30 にある。
正道官衙遺跡公園には、万葉植物にちなんだ歌碑が30基あるが、今回ですべて紹介したことになる。
●歌をみていこう。
◆淺緑 染懸有跡 見左右二 春楊者 目生来鴨
(作者未詳 巻十 一八四七)
≪書き下し≫浅緑(あさみどり)染(そ)め懸(か)けたりと見るまでに春の柳は萌えにけるかも
(訳)薄緑色に糸を染めて木に懸けたと見紛うほどに、春の柳は、青々と芽を吹き出した。(伊藤 博 著 「万葉集 二」角川ソフィア文庫より)
「はじめての万葉集Vol11」(奈良県HP)の「春を訪れを告げる柳」に、下記のように記されている。
「(前略)柳は生命力の旺盛な植物で、枝を湿地にさし立てるだけで根をおろすことがあるほどです。そのため呪力をもつ神木と考えられていました。『万葉集』には柳を髪飾りにして長寿を祝う歌(巻十九の四二八九)や、田植えのときに柳の枝をさし立てるようすを詠んだ歌(巻十五の三六〇三)がみられます。
一般的に柳は、枝葉の垂れるものに『柳』(シダレヤナギ)、垂れずに立つものに『楊』(カハヤナギ・ネコヤナギ)の文字があてられます。ただし『万葉集』では両者の違いが明確ではありません。また、柳は中国からの渡来種なので梅花とともに詠まれることが多く、しなやかな春の青柳と香(かぐわ)しい梅花との取り合わせが好まれたようです。(後略)」
ここに記載されている歌二首をみてみよう。
◆青柳乃 保都枝与治等理 可豆良久波 君之屋戸尓之 千年保久等曽
(大伴家持 巻十九 四二八九)
≪書き下し≫青柳(あおやぎ)のほつ枝(え)攀(よ)ぢ取りかづらくは君がやどにし千年(ちとせ)寿(ほ)くとぞ
(訳)青柳の秀(ほ)つ枝(え)を引き寄せ折り取って、縵(かずら)にするのは、我が君のお屋敷に誰も彼もがこうしてうち集うて、千年のお栄えを願ってのことでございます。(伊藤 博 著 「万葉集 四」 角川ソフィア文庫より)
(注)あをやぎ 【青柳】春になって青々と芽をふき始めた柳。「あをやなぎ」とも。
(注)ほつえ 【上つ枝・秀つ枝】名詞:上の方の枝。◆「ほ」は突き出る意、「つ」は「の」の意の上代の格助詞。上代語。[反対語] 中つ枝(え)・下枝(しづえ)。
(注)かづらく【鬘く】草や花や木の枝を髪飾りにする。
もう一首をみておこう。
◆安乎楊疑能 延太伎里於呂之 湯種蒔 忌忌伎美尓 故非和多流香母
(遣新羅使 巻十五 三六〇三)
≪書き下し≫青柳(あをやぎ)の枝(えだ)伐(き)り下(お)ろしゆ種蒔(たねま)きゆゆしき君に恋ひわたるかも
(訳)青柳の枝を伐り取り挿し木して、斎(い)み浄めたゆ種を蒔くそのゆゆしさのように、馴れ馴れしくできない君、そんなあなたさまに、焦がれつづけています。(伊藤 博 著 「万葉集 三」 角川ソフィア文庫より)
一八四七歌の「春楊」にしろ四二八九歌の「青柳」も「浅緑(あさみどり)染(そ)め懸(か)けたりと見るまでに」とよまれている、春の柳のつやつやとした新芽の鮮やかな浅緑色の柳を表現している。
陰陽五行説の各要素には色だけではなく季節も当てはめられており、「春・夏・秋・冬」が「木・火・金・水」にそれぞれ対応しているそうである。「木」には色の「青」と季節の「春」が対応しているそうで、青は春でありものごとの始まりを意味しているそうである。
「青柳」という言葉で「春」をそして、浅緑の新緑をイメージさせるのである。
(参考文献)
★「萬葉集」 鶴 久・森山 隆 編 (桜楓社)
★「weblio古語辞典 学研全訳古語辞典」
●本日のザ・モーニングセット&フルーツフルデザート
サンドイッチは、レタス、トマトそして焼き豚である。三角形に切り分けお皿に並べた。デザートは、グレープフルーツの房の皮をむき並べ、その上にみかん、バナナ、ブドウを配した。四隅は、赤と緑のブドウの切合わせで加飾した。