万葉集の歌碑めぐり

万葉歌碑をめぐり、歌の背景等を可能な限り時間的空間的に探索し、万葉集の万葉集たる所以に迫っていきたい!

万葉歌碑を訪ねて(その226-1)―京都府城陽市寺田 正道官衙遺跡公園「古代城陽を詠んだ万葉歌」(1)―

 

●歌は、「白鳥の鷺坂山の松蔭に宿りて行かな夜も更けゆくを」

 

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京都府城陽市寺田 正道官衙遺跡公園「古代城陽を詠んだ万葉歌」(1)

●歌碑は、京都府城陽市寺田 正道官衙遺跡公園にある。「古代城陽を詠んだ万葉歌」として六首選択されている。その1である。

 

●歌をみていこう。

◆白鳥 鷺坂山 松影 宿而往奈 夜毛深往乎

柿本人麻呂歌集 巻九 一六八七)

 

≪書き下し≫白鳥(しらとり)の鷺坂山(さぎさかやま)の松影(まつかげ)に宿(やど)りて行かな夜(よ)も更けゆくを          

 

(訳)白鳥の鷺坂山の松、この人待ち顔の松の木蔭で一夜の宿を取って行こう。夜も更けて行くことだし。(伊藤 博 著 「万葉集 二」 角川ソフィア文庫より)

(注)しらとりの 【白鳥の】分類枕詞:白鳥が飛ぶことから地名「飛羽山(とばやま)」に、また、鷺(さぎ)が白い鳥であることから同音を含む地名「鷺坂山(さぎさかやま)」にかかる。

(注)さぎさかやま【鷺坂山】:現在の京都府城陽市大字久世、久世神社付近の丘。(コトバンク 三省堂大辞林 第三版)

 

 「しらとりの」ではじまる歌は意外に少なく、これ以外では、五八八歌のみである。

こちらをみてみよう。

 

◆白鳥能 飛羽山松之 待乍曽 吾戀渡 此月比乎

              (笠郎女 巻四 五八八)

 

≪書き下し≫白鳥の飛羽山(とばやま)松の待ちつつぞ我(あ)が恋ひわたるこの月ごろを

 

(訳)白鳥の飛ぶ飛羽山の松ではありませんが、おいでを待ちながら私は慕いつづけております。この何か月もの間を。(伊藤 博 著 「万葉集 一」 角川ソフィア文庫より)

(注)飛羽山:所在未詳

(注)つきごろ【月頃】①何か月もの間 ②数か月来。

 

 あらためて、京都府城陽市寺田正道にある、「正道官衙遺跡」をみてみよう。

正道官衙遺跡(しょうどうかんがいせき)とは、「コトバンク 講談社国指定史跡ガイド」には、次のように記載されている。

京都府城陽(じょうよう)市寺田正道にある官衙跡。南山城、木津川東岸の標高40~50mにある南向きの丘陵末端に位置する。台地西端の池畔で瓦片や土器片が見つかって古代寺院があったと推定されたことから、当初は地名を取って正道廃寺跡と名づけられた。しかし、その後の発掘調査で、南を築地で限られた区画に奈良時代郡衙(ぐんが)(役所)の中心部分と推定される掘立柱建物群跡が発見され、正道遺跡と改名された。さらに発掘調査を続けた結果、遺跡西側にも建物群跡のあることがわかり、5世紀の小規模な古墳と6世紀後半~7世紀の集落遺構、7世紀以降の整然と配置された大型の掘立柱建物群からなる官衙遺構などが重なり合う複合遺跡と確認された。とくに官衙遺構は、歴史・地理的背景や出土遺物などから、奈良時代山城国久世(くぜ)郡の郡衙中心部であると推定される。遺跡は発掘調査後、埋め戻されて長い間広場になっていたが、史跡公園として遺構の一部が復元され、遺跡跡地は芝生や万葉植物を配した史跡広場として整備されている。1974年(昭和49)に国の史跡に指定され、2006年(平成18)に追加指定を受けた。JR奈良線城陽駅から徒歩約15分。」

 官衙遺構は、奈良時代山城国久世(くぜ)郡の郡衙中心部であると推定され、現在、遺跡は、史跡公園として遺構の一部が復元され、史跡広場になっている。万葉植物にちなんだ歌碑が設けられている。広場のほぼ中央部には庁屋の復元されたものがあり、南門跡も復元されている。万葉歌碑は、広場の周囲の植込みの小径に沿って設けられている。いくつかは広場周辺にもある。中には、植込みに埋もれているのもあるので、注意深く探索するのが望ましい。

 

(参考文献)

★「萬葉集」 鶴 久・森山 隆 編 (桜楓社)

★「万葉集 一」 伊藤 博 著 (角川ソフィア文庫

★「万葉集 二」 伊藤 博 著 (角川ソフィア文庫

★「weblio古語辞典 学研全訳古語辞典」

★「コトバンク 講談社国指定史跡ガイド」

 

●本日のザ・モーニングセット&フルーツフルデザート

 サンドイッチは、サニーレタスと焼き豚である。デザートは、りんごのスライスでグレープフルーツルビーをはさみ、周囲を赤と緑のブドウの切合わせで加飾した。

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10月14日のザ・モーニングセット

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10月14日のフルーツフルデザート