万葉集の歌碑めぐり

万葉歌碑をめぐり、歌の背景等を可能な限り時間的空間的に探索し、万葉集の万葉集たる所以に迫っていきたい!

万葉歌碑を訪ねて(その258、259) ―  滋賀県東近江市糠塚町 万葉の森船岡山 蒲生野狩猟レリーフ横、同 万葉の森船岡山 山頂付近―

 

●258ならびに259の歌碑の歌は同じである。 

 

●歌は、

あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る           額田王               1-20      

紫草のにほえる妹を憎くあらば人妻故に我れ恋ひめやも       大海人皇子           1-21      

 

●歌碑は、

258が、滋賀県東近江市糠塚町 万葉の森船岡山 蒲生野狩猟レリーフ横 にある。

 

f:id:tom101010:20191114214809j:plain

万葉の森船岡山 蒲生野狩猟レリーフ横万葉歌碑(額田王大海人皇子

   

  

259が、同 万葉の森 船岡山山頂付近にある。

f:id:tom101010:20191114215044j:plain

万葉の森船岡山 山頂付近万葉歌碑(額田王大海人皇子

 

 この歌については、ブログ拙稿「万葉歌碑を訪ねて(その170、171)、「同(その234)」で紹介している。

 

●歌をみておこう。

 

◆茜草指 武良前野逝 標野行 野守者不見哉 君之袖布流

             (額田王 巻一 二〇)

 

≪書き下し≫あかねさす紫野行き標野(しめの)行き野守(のもり)は見ずや君が袖振る

 

(訳)茜(あかね)色のさし出る紫、その紫草の生い茂る野、かかわりなき人の立ち入りを禁じて標(しめ)を張った野を行き来して、あれそんなことをなさって、野の番人が見るではございませんか。あなたはそんなに袖(そで)をお振りになったりして。(伊藤 博 著 「万葉集 一」 角川ソフィア文庫より)

(注)あかねさす【茜さす】分類枕詞:赤い色がさして、美しく照り輝くことから「日」「昼」「紫」「君」などにかかる。

(注)むらさき 【紫】①草の名。むらさき草。根から赤紫色の染料をとる。②染め色の一つ。①の根で染めた色。赤紫色。古代紫。古くから尊ばれた色で、律令制では三位以上の衣服の色とされた。

(注)むらさきの 【紫野】:「むらさき」を栽培している園。

(注)しめ【標】:神や人の領有区域であることを示して、立ち入りを禁ずる標識。また、道しるべの標識。縄を張ったり、木を立てたり、草を結んだりする。

 

◆紫草能 尓保敝類妹乎 尓苦久有者 人嬬故尓 吾戀目八方

天武天皇 巻一 二一)

 

≪書き下し≫紫草(むらさき)のにほへる妹(いも)を憎(にく)くあらば人妻(ひとづま)故(ゆゑ)に我(あ)れ恋(こ)ひめやも

 

(訳)紫草のように色美しくあでやかな妹(いも)よ、そなたが気に入らないのであったら、人妻と知りながら、私としてからがどうしてそなたに恋いこがれたりしようか。(伊藤 博 著 角川ソフィア文庫より)

 

 この日(2019年10月23日)の万葉歌碑めぐりは、滋賀県大津市雄松崎、同草津市惣社神社、同山田まちづくりセンター、そして、同東近江市糠塚町 万葉の森船岡山である。

 付近まで来た。右手にこんもりした山が見える。「万葉の森 船岡山」の案内板に従い、田んぼの中の道を行く。三叉路があり、右手奥に、「船岡山 県民花の森」の石碑が見えた。3,4台、車を止めるスペースがある。トイレもあるが、あたりには、全く人の気配がない。

f:id:tom101010:20191114215447j:plain

船岡山 県民花の森」の案内碑

 地図があった。「万葉の森 船岡山」とあり、万葉植物園、自然林、遊歩道が書かれており、現在地の表示もしてある。小さな鳥居があり、結構厳しそうな上りの石段が待ち構えている。

f:id:tom101010:20191114215725j:plain

万葉の森船岡山案内地図

f:id:tom101010:20191114215914j:plain

鳥居と山頂への石段

 前進あるのみ。ようやく植物園を見渡せるところに出る。そこから下って、阿賀神社横の小さな池の縁に到着。池の周りにも歌碑が点在している。そこから広場に出ると、「蒲生野での遊猟を描いたレリーフ」があり、その横に258の歌碑があった。

f:id:tom101010:20191114220043j:plain

蒲生野での遊猟を描いたレリーフ

 レリーフの後ろは万葉植物園となっており、歌にちなんだ植物が植えられ、歌碑が並んでいる。100余の歌碑を見て歩いた。

f:id:tom101010:20191114220253j:plain

万葉植物園と万葉歌碑


 阿賀神社参道近くにも駐車場があり平坦な所である。

f:id:tom101010:20191114220445j:plain

阿賀神社境内

 こちらまで回り込んで来れば、小さな山とはいえ、山越えせずに済んだのである。山頂近くの万葉歌碑を見過ごしたので、再小登山。

f:id:tom101010:20191114220643j:plain

船岡山の説明案内板

大きな岩にプレートがはめ込まれた歌碑が259である。

f:id:tom101010:20191114220816j:plain

巨大な岩が歌碑になっている

 

(参考文献)

★「萬葉集」 鶴 久・森山 隆 編 (桜楓社)

★「万葉集 一」 伊藤 博 著 (角川ソフィア文庫

 

●本日のザ・モーニングセット&フルーツフルデザート

 サンドイッチは、ドッグパンを使った。レタス、キュウリ、ソーセージ、フライが中味である。デザートは、ミカンの横切りの房を外し花が咲いたように配した。周りは赤と緑のブドウで加飾した。

f:id:tom101010:20191114221028j:plain

11月14日のフルーツフルデザート

f:id:tom101010:20191114221103j:plain

11月14日のフルーツフルデザート