●歌は、「大和の宇陀の真赤土のさ丹付かばそこもか人の我を言なさむ」
●歌をみていこう。
◆山跡之 宇陀乃真赤土 左丹著者 曽許裳香人之 吾乎言将成
(作者未詳 巻七 一三七六)
≪書き下し≫大和(やまと)の宇陀(うだ)の真赤土(まはに)のさ丹(に)付(つ)かばそこもか人の我(わ)を言(こと)なさむ
(訳)大和(やまと)の宇陀(うだ)の真埴の赤い土がついたならば、たったそれだけのことで、世間の人は私のことをとやかく言立てるのでしょうか。(伊藤 博 著 「万葉集 二」 角川ソフィア文庫より)
(注)はに【埴】名詞:赤黄色の粘土。瓦(かわら)や陶器の原料にしたり、衣にすりつけて模様を表したりする。(weblio古語辞典 学研全訳古語辞典)
(注)に【丹】名詞:赤土。また、赤色の顔料。赤い色。
「さ丹付く」は赤面するたとえ。(学研)
(注)ことなす【言成す】他動詞:言葉に出す。あれこれ取りざたする。(学研)
令和元年12月16日、1回目の宇陀市万葉歌碑めぐりを計画、県畜産技術センターも計画に入れていたが、残念ながら、見つけることができなかった。同技術センターに隣接する宇陀アニマルパーク付近まで足を延ばし探した。技術センター建屋の周りはもちろん、池の周りも探した。歌碑らしき置き石が多く散らばっており、期待をしながら近づいては裏切られることの繰り返しをした。20日2回目を計画、失敗は許されないと、まず宇陀市役所に行って資料をもらってから再度挑戦をすることに。
商工観光課に行き、資料をもらう。前回畜産技術センターの歌碑を見つけることができなかった旨、話をし、場所を教えてもらう。ちょうど同センターの方がおられるということでつないでいただいた。同センター建屋の池側横の植込みの所である。前回もその当たりを探した、と話をすると、小さな歌碑なので草にうずもれていたのかもしれません、とのことであった。歌碑の位置の略図や万が一見つからなかったら、アニマルパークの受付に問い合わせてもらえば、等丁寧に教えていただく。朝から親切な対応をしていただき、気持ちよく市役所を出発した。
二度目の技術センター訪問である。驚いたことに、植込みの所が刈込されており、言われていたように小さい歌碑であったが、すぐに見つけることができたのである。有難いことである。ここまで対応していただいたことに感謝!
「市内の万葉歌碑ガイドブック」には「県畜産試験場」となっているが、平成13年に「県畜産技術センター」に名称変更、同20年「うだ・アニマルパーク」としてオープン、同23年「うだ・アニマルパークと分離して、県畜産技術センターに名称変更」されたという。
★「萬葉集」 鶴 久・森山 隆 編 (桜楓社)
★「市内の万葉歌碑ガイドマップ」 (宇陀市商工観光課)
★「weblio古語辞典 学研全訳古語辞典」