万葉集の歌碑めぐり

万葉歌碑をめぐり、歌の背景等を可能な限り時間的空間的に探索し、万葉集の万葉集たる所以に迫っていきたい!

万葉歌碑を訪ねて(その439)―奈良県御所市森脇 葛城一言主神社―万葉集 巻十一 二六三九 

●歌は、「葛城の襲津彦真弓新木にも頼めや君が我が名告りけむ」である。

 

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葛城一言主神社万葉歌碑(作者未詳)

●歌碑は、奈良県御所市森脇 葛城一言主神社にある。

 

●歌をみていこう。

 

◆葛木之 其津彦真弓 荒木尓毛 憑也君之 吾之名告兼

               (作者未詳 巻十一 二六三九)

 

≪書き下し≫葛城(かづらき)の襲津彦(そつびこ)真弓(まゆみ)新木(あらき)にも頼めや君が我(わ)が名告(の)りけむ

 

(訳)葛城(かつらぎ)の襲津彦(そつびこ)の持ち弓、その材の新木さながらにこの私を信じ切ってくださった上で、あなたは私の名を他人(ひと)にあかされたのでしょうか。(伊藤 博 著 「万葉集 三」 角川ソフィア文庫より)

(注)葛城襲津彦:4世紀後半ごろの豪族。大和の人。武内宿禰(たけのうちのすくね)の子。大和朝廷に仕え、その娘、磐之媛(いわのひめ)は仁徳天皇の皇后とされる。(コトバンク デジタル大辞泉)葛城氏の祖とされる。

(注)けむ 助動詞《接続》活用語の連用形に付く。〔過去の原因の推量〕…たというわけなのだろう。(…というので)…たのだろう。 ▽上に疑問を表す語を伴う。(weblio古語辞典 学研全訳古語辞典)

 

 鳥居の手前の参拝者駐車場に車を止め、100mほど歩くと階段があり、上ると境内に出る。拝殿に向かって左側手に万葉歌碑は建てられている。その右には歌碑の説明碑がある。

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一言主神社扁額

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鳥居と参道

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境内への階段

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万葉歌碑説明碑

拝殿の前には、樹齢1200年と言われる大イチョウがある。根元近くだけが大きく残っており、支えがなければ今にも倒れそうな巨木である。この大イチョウは「乳イチョウ」と呼ばれ、健康な子どもを授かり、母乳が良く出るようにという、子どもを思う親の信仰を集めているという

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イチョウの古木

 

葛城一言主神社の正式名称は葛城坐一言主神社(かつらぎにいますひとことぬしじんじゃ)である。葛城の大神、一言主神は日本書紀などによると雄略天皇と争ったとされており、葛城氏と大和朝廷の対立が偲ばれます。 地元では「一言さん(いちごんさん)」として親しまれ、どの様な願い事でも一言の願いならばかなえてくれると信じられている。境内には推定樹齢1,200年の大イチョウ松尾芭蕉の句碑などもある」(奈良県ビジターズビューローHP 「なら旅ネット」

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拝殿

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神社の由来


 

 

(参考文献)

★「萬葉集」 鶴 久・森山 隆 編 (桜楓社)

★「万葉集 三」 伊藤 博 著 (角川ソフィア文庫

★「weblio古語辞典 学研全訳古語辞典」

★「コトバンク デジタル大辞泉

★「なら旅ネット」 (奈良県ビジターズビューローHP)