万葉集の歌碑めぐり

万葉歌碑をめぐり、歌の背景等を可能な限り時間的空間的に探索し、万葉集の万葉集たる所以に迫っていきたい!

万葉歌碑を訪ねて(その455、456)―大阪府羽曳野市飛鳥 上ノ太子駅前、大阪府南河内郡 太子町役場―万葉集 巻十 二二一〇

―その455―

●歌は、次の456も同じで、「明日香川黄葉流る葛城の山の木の葉は今し散るらし」である。

  

 

●歌碑は、その455は、大阪府羽曳野市飛鳥 近鉄南大阪線上ノ太子駅前にある。歌碑は積み木細工型の横バージョンである。駅の北側には「竹内街道」があることから、この碑も表面は竹内街道について書かれている。

f:id:tom101010:20200410172043j:plain

大阪府羽曳野市飛鳥 上ノ太子駅前万葉歌碑(作者未詳)

 

f:id:tom101010:20200410172455j:plain

この碑の裏面に万葉歌が刻まれている

f:id:tom101010:20200410172638j:plain

近鉄南大阪線上の太子駅

 

 

その456は、大阪府南河内郡 太子町役場横町立図書室の裏側手のミニ広場にある。

 

f:id:tom101010:20200410172826j:plain

太子町役場万葉歌碑(作者未詳)

f:id:tom101010:20200410172946j:plain

歌の解説碑

f:id:tom101010:20200410173045j:plain

万葉歌碑ロケーション

●歌をみていこう。

 

◆明日香河 黄葉流 葛木 山之木葉者 今之落疑

               (作者未詳 巻十 二二一〇)

 

≪書き下し≫明日香川(あすかがは)黄葉(もみちば)流る葛城(かづらぎ)の山の木(こ)の葉は今し散るらし

 

(訳)明日香川にもみじが流れている。この分では、葛城(かつらぎ)の山の木の葉は、今頃しきりに散っていることであろう。(伊藤 博 著 「万葉集 二」 角川ソフィア文庫より)

(注)明日香川>飛鳥川:太子町大字山田の神山付近を水源とし、ほぼ全域が国道166号(竹内街道)に沿って北西方向へ流れ、途中の羽曳野市飛鳥では集落の中を国道に張り付くように流れる。羽曳野市川向で石川に合流する。飛鳥川沿岸の地域は通称「河内飛鳥(近つ飛鳥)」とよばれる。(フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』)

f:id:tom101010:20200410173231j:plain

道の駅「近つ飛鳥の里 太子」の二上山のモニュメント

 

太子町に関しては、太子町HPの「太子町のプロフィール」に詳しく次のように書かれている。

「太子町は、大阪府の東南部に位置し、北を羽曳野市、西を富田林市、南を河南町に接し、また東は金剛生駒紀泉国定公園となる金剛・葛城の山々を介し、奈良県香芝市、葛城市と接した、豊かな緑と歴史につつまれたまちです。

特にまちの東にらくだの背のような美しい姿でそびえている「二上山(にじょうざん)」は、町のシンボルともいえる山です。二上山とは、北側の高い峰を雄岳(517メートル)と南側の低い峰を雌岳(474メートル)とをあわせて呼ぶ名で、かつては「ふたかみやま」とも呼ばれ、万葉集にも詠われるなど、数多くの歴史のエピソードに彩られた山として知られています。

太子町の歴史も、まさにこの二上山から始まりました。山麓から産出するサヌカイトと呼ばれる石は、数万年前の旧石器時代以降、石器の材料として広く近畿一円で利用されました。

 

また、時代は下り、飛鳥時代にはこの二上山の南麓に、推古天皇によって整備された大道(のちの竹内街道)が置かれました。遣隋使として知られる小野妹子はこの道を通って遠く大陸をめざし、また大陸からはるばるやって来た使者たちは逆にこの道を通って都のあった飛鳥へ向かったのでしょう。この頃、大和の飛鳥が“遠つ飛鳥"と呼ばれたのに対し、太子町周辺は“近つ飛鳥"と呼ばれ、町内には数多くの天皇・皇族クラスの古墳が築造されました。

 太子町一帯が「王陵の谷」と呼ばれる由縁です。その中心となるのが、総称して梅の花びらが5枚であることになぞられて梅鉢御陵と呼ばれる、敏達・用明・推古・孝徳天皇陵と聖徳太子御廟です。

昭和31年9月30日に、当時の磯長村と山田村が合併し、聖徳太子にちなんで太子町と名付けられて、現在に至っています。

 聖徳太子は、推古天皇の摂政となり、十七条憲法や冠位十二階の制定や遣隋使の派遣などによる大陸外交の推進によって、多くの大陸の制度や文化を積極的に取り入れた人物として、歴史上、もっともよく知られている人物の一人です。太子町では、この聖徳太子の『和を以って貴しと為す』をモットーにまちづくりを推進しています。」

 

 

(参考文献)

★「萬葉集」 鶴 久・森山 隆 編 (桜楓社)

★「万葉集 二」 伊藤 博 著 (角川ソフィア文庫

★「フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』」

★「太子町のプロフィール」 (太子町HP)