●歌は、「我がやどは甍しだ草生ひたれど恋忘れ草見れどいまだ生ひず( 柿本人麻呂歌集 11-2475)」である。

引用させていただきました。
「集中『しだ草』が出てくるのは、柿本人麻呂歌集のこの1首だけである。現在のどの植物であるのかは諸説あるが、一名『八目蘭(やつめらん)』といわれるノキシノブという説が有力である。この草は湿度の高い巌や森林の中の老木などに生える。その中でも家の屋根などに生えるものを特に『のきしのぶ』と呼ぶ。・・・萱葺きとか木や土で造られた建物の屋根などに生えるものである。・・・歌意は、私の家は訪れる人も絶えて無く、屋根にはのきしのぶが生えてしまいました。でも、どんなに探しても恋を忘れてしまうという草は生えていません。あなたへの恋心は消えるわけもなく、じっと耐え忍んでいますよ、というもので、わすれ得ぬ恋の想いに苦しんでいる心を歌っている。(後略)」(「植物で見る万葉の世界」(國學院大學「万葉の花の会」発行)より)
●歌をみていこう。
◆我屋戸 甍子太草 雖生 戀忘草 見未生
(柿本人麻呂歌集 巻十一 二四七五)
≪書き下し≫我がやどは甍(いらか)しだ草生(お)ひたれど恋忘(こひわす)れ草見れどいまだ生(お)ひず
(訳)我が家の庭はというと、軒のしだ草はいっぱい生えているけれど、肝心の恋忘れ草はいくら見てもまだ生えていない。(伊藤 博 著 「万葉集 三」 角川ソフィア文庫より)
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(注)しだくさ【しだ草】:ノキシノブの別名。(goo辞書)
(注の注)Copilotに「ノキシノブの名の由来と実際の軒の下に生えるノキシノブ」を質問してみた。以下の回答が得られた。
🌿ノキシノブの名の由来
ノキシノブ(軒忍)という名前は、「軒(のき)」の下や古い屋根・木の幹などに“しのぶ(忍ぶ)ように”着生する姿から生まれた名前です。
静かに張りつくように生えるため、「忍ぶ=ひっそり耐えて生きる」というニュアンスが重なり、古くから和歌にも登場するほど親しまれてきました。
- 語源のポイント
- 軒(のき)+忍(しのぶ) → 軒の下に生える忍ぶ草
- 古い木造建築の軒先・石垣・樹皮に自然に着生
- 平安時代には「コトナシグサ(事無草)」とも呼ばれ、厄除けの象徴として冠に挿す風習もあった
- 和歌にも登場し、侘びた風景を象徴する植物として扱われた
当該歌の歌碑をみてみよう。
■奈良市春日野町 春日大社神苑萬葉植物園万葉歌碑<プレート>■

(作者未詳 11-2475) 20210427撮影
■兵庫県加古郡稲美町 稲美中央公園万葉の森万葉陶板歌碑■

■静岡県浜松市浜北区 万葉の森公園万葉歌碑<プレート>■

■島根県松江市東出雲町 面足山万葉公園万葉歌碑<プレート>■

(作者未詳 11-2475) 20221108撮影
■高知県大豊町粟生 土佐豊永万葉植物園万葉歌碑■

20221130撮影
■名古屋市千種区東山元町 東山動植物園万葉の散歩道万葉歌碑(プレート)■

(柿本人麻呂歌集 11-2475) 20210216撮影
■国分寺市西元町 国分寺万葉庭園万葉歌碑(プレート)■

(柿本人麻呂歌集 11-2475) 20251122撮影
(参考文献)
★「萬葉集」 鶴 久・森山 隆 編 (桜楓社)
★「万葉集 三」 伊藤 博 著 (角川ソフィア文庫)
★「植物で見る万葉の世界」 (國學院大學「万葉の花の会」発行)
★「weblio古語辞典 学研全訳古語辞典」
★「weblio辞書 デジタル大辞泉」
★「goo辞書」
★「Copilot」