万葉集の歌碑めぐり

万葉歌碑をめぐり、歌の背景等を可能な限り時間的空間的に探索し、万葉集の万葉集たる所以に迫っていきたい!

ザ・モーニングセット190203(万葉の小径シリーズ―その27つまま)

●今日は節分である。マーケットのチラシは恵方巻一色といっても過言でℋない。豪華な巻寿司である。毎年終わった後の大量廃棄が話題になっている。食に関して売らんかな主義一辺倒でなく広く食糧問題も考えるべきである。経済と環境、一人一人が考えていかなければならない問題である。

 サンドイッチは8分割して、備前焼のお皿の盛り付けた。真ん中にデザートグラスを配した。

f:id:tom101010:20190203230050j:plain

2月3日のモーニングセット

 デザートは、グラスの底にブドウを敷き詰め、ヨーグルトを入れ、中段に2色のブドウを4分割したものを交互に並べた。さらにヨーグルトを入れ、バナナをグラスの周辺に並べ、リンゴの縦切りの真ん中を桜の花柄にくり抜いたものを立てて並べた。その中央に2色のブドウの切り合わせを置いた。立体的な仕上がり。

 

f:id:tom101010:20190203230124j:plain

2月3日のデザート

 今日の万葉の歌碑の説明は「つまま」である。

 

●万葉の小径シリーズ-その27 つまま タブノキ

 

磯の上の 都万万麻(つまま)を見れば 根を延(は)へて 

 年深からし 神さびにけり

                    (大伴家持 巻一九 四一五九)

 

磯上之 都萬麻乎見者 根乎延而 年深有之 神左備尓家里

 

磯辺に生えているつままは、根をぐーんとどこまでも伸ばしている。年月が経ったせいであろうか、神々しい風情を帯びている。

 

「つままは、イヌガシやイヌツゲなど異説もあるが、タブノキ(イヌグス)と見る説が多い。タブノキは常緑の大高木で、高さ十メートル、幹一メートルを越えるものもある。大伴家持が題詞にも「渋渓(しぶたに)の崎を通り、厳(いはは)の上の樹を見る歌一首 樹の名は都万麻(つまま)」と述べているように、越中国射水郡渋渓(えっちゅうのくにいみずのこおりしぶたに)の崎(現、富山県高岡市雨晴海岸<あまばらしかいがん>)に茂るつままに、都には見慣れない木に興を覚えて歌っているが、万葉集の中では、この歌一首に歌われているに過ぎない。今日では、大伴家持がかつて執務していた国庁付近に建つ勝興寺(しょうこうじ)の通用門に根を伸ばしているタブノキを見ることができ、渋渓の崎には、江戸時代に建てられ文字も薄れた、この歌の歌碑がある。

 万葉の頃、人々は人間の心というものが、線上に身体の中に宿っていると思っていた。それゆえ、植物でも、見た目に美しいものに惹かれるのはもちろんであるが、線上の根がどこまでも続くところに、自分の心の永遠を認めて歌うことも多かった。」

                       (万葉の小径 つままの歌碑)

 

 

 序は、「季春三月九日擬出擧之政行於奮江村道上属目物花之詠幷興中所作之歌」(季春三月九日 出擧(すいこ)の政(まつりごと)に擬(よ)りて奮江村(ふるえむら)に行き 道の上(ほとり)にして物花(ぶつくわ)の属目(しょくもく)せる詠(うた)幷(ならびに)興中に作りし所の歌)

題詞は、「過澁谿埼見巌上樹歌一首 樹名都萬麻」(澁谿<しぶたにの>埼を過ぎて巌の上の樹を見たる歌一首 樹の名は都萬麻(つまま))である。

 

 高岡市の雨晴海岸は、大伴家持が訪れるたびに絶賛した場所だそうである。冬の晴れの日に見られる立山連峰雄大な眺めは絶景で、その情景を詠んだ数々の家持の歌がある。一例は次の通りである。

 

「多知夜麻尓(たちやまに) 布里於家流由伎乎(ふりおけるゆきも) 登己奈都尓(とこなつに) 見礼等母安可受(みれどもあかず) 加武賀良奈良之(かむからならし)」

                       (大伴家持 巻十七 四〇〇一)

  立山に降り積もった雪も、いつ見ても飽きないものだ。神である故であろうか、と自然への畏怖と同時に美しい情景を歌っている。

                                                      

(参考文献) 

★万葉の小径 つままの歌碑

★「萬葉集」 鶴 久・森山 隆 編 (桜楓社)

★「別冊國文学 万葉集必携」 稲岡耕二 編 (學燈社

★とやま観光ナビWS