万葉集の歌碑めぐり

万葉歌碑をめぐり、歌の背景等を可能な限り時間的空間的に探索し、万葉集の万葉集たる所以に迫っていきたい!

2019-03-01から1ヶ月間の記事一覧

万葉歌碑を訪ねて(その28改)―奈良市矢田原町 田原西陵前―万葉集 巻八 一四一八

●歌は、「石ばしる垂水の上のさ蕨の萌え出づる春になりにけるかも」である。 田原西陵前万葉歌碑(志貴皇子) ●歌碑は、奈良市矢田原町 田原西陵前にある。 ●歌をみていこう。 この歌は、万葉集巻八の巻頭歌である。 題詞は、「志貴皇子懽御歌一首」<志貴皇…

万葉歌碑を訪ねて(その27改)―奈良市菩提寺山町の正暦寺の境内―万葉集 巻八 一五一二

●歌は、「經もなく緯も定めずをとめらが織れる黄葉に霜な降りそね」である。 正暦寺万葉歌碑(大津皇子) ●歌碑は奈良市菩提寺山町の正暦寺の境内にある。 ●歌をみていこう。 ◆経毛無 緯毛不定 未通女等之 織黄葉尓 霜莫零( (大津皇子 巻八 一五一二) ≪書…

万葉歌碑を訪ねて(その26改)―奈良市横井1丁目 穴栗神社―巻十七 三九五二

●歌は、「妹が家に伊久里の杜の藤の花今來む春も常かくし見む」である。 穴栗神社万葉歌碑(高安王) ●歌碑は、奈良市横井1丁目677番地にある穴栗神社にある。 ●歌をみていこう。 ◆伊毛我伊敝尓 伊久里能母里乃 藤花 伊麻許牟春母 都祢加久之見牟 (大原…

万葉歌碑を訪ねて(その25の1改、25の2改)―近鉄京都線高の原駅前―万葉集 巻十 一八八七、巻一 八四

―その25の1― ●歌は、「春日なる三笠の山に月も出でぬかも佐紀山に咲ける桜の花の見ゆべく」である 近鉄高の原駅前広場万葉歌碑(作者未詳) 歌碑と駅前風景 ●歌碑は、高の原駅とバス停の間の植込みの中に設置されている。通勤やウォーキングで20年ほど…

万葉歌碑を訪ねて(その24改)―大安寺―万葉集 巻二十 四四六八

●歌は、「うつせみは数なき身なり山川のさやけき見つつ道をたづねな」である。 大安寺万葉歌碑(大伴家持) ●歌碑は、大安寺境内にある・ ●歌をみていこう。 ◆宇都世美波 加受奈吉身奈利 夜麻加波乃 佐夜氣吉見都 美知乎多豆祢米 (大伴家持 巻二十 四四六八…

万葉歌碑を訪ねて(その23改)―奈良市杏町辰市神社―万葉集 巻三 三一〇

●歌は、「東の市の植木の木足るまで逢はず久しみうべ恋ひにけり」である。 奈良市杏町辰市神社万葉歌碑(門部王) ●歌碑は、奈良市杏町辰市神社にある。 ●歌をみていこう。 題詞は、「門部王詠東市之樹作歌一首 後賜姓大原真人(おほはらのまひと)氏也」<…

万葉歌碑を訪ねて(その22改)―奈良市菅原町喜光寺境内―万葉集 巻二十 四四九一

●歌は、「大き海の水底ふかく思ひつつ裳引き平らしし菅原の里」である。 喜光寺万葉歌碑(石川女郎) ●歌碑は、奈良市菅原町の喜光寺境内にある。 ●歌をみていこう。 ◆於保吉宇美能 美奈曽己布可久 於毛比都々 毛婢伎奈良之思 須我波良能佐刀 (石川女郎 巻…

万葉歌碑を訪ねて(その20改、21改)―奈良市山町円照寺参道―万葉集 巻二十 四二九三

―その20改― ●歌は、「あしひきの山行きしかば山人のわれに得しめし山つとぞ此れ」である。 ●歌碑は、円照寺参道にある。 山町円照寺参道万葉歌碑(太上天皇) ●歌をみていこう。 ◆安之比奇能 山行之可婆 山人乃 和礼尓依志米之 夜麻都刀曽許礼 (元正天皇 …

万葉歌碑を訪ねて(その19改)―白毫寺の境内―万葉集 巻二 二三一

●歌は、「高圓の野邊の秋萩いたづらに咲きか散るらむ見る人無しに」である。 白毫寺境内歌碑(笠金村) ●この歌碑は白毫寺の境内にある。歌碑の横の木札に「今、あなたがこの歌碑に向かはれる時、その直線状、約三kmの彼方高円山の裏側に志貴皇子のお墓(春…

万葉歌碑を訪ねて(その18改)―奈良佐保短期大学前庭―万葉集 巻八 一六一〇

●歌は、「高円の秋野の上のなでしこの花うら若み人のかざししなでしこの花」である。 奈良佐保短期大学前庭万葉歌碑(丹生女王) ●歌碑は、奈良市鹿野園町奈良佐保短期大学前庭にある。 ●歌をみていこう。 ◆高圓之 秋野上乃 瞿麦之花 丁壮香見 人之挿頭師 瞿…

万葉歌碑を訪ねて(その17改)―奈良市古i市町 和楽園―万葉集 巻八 一四二四

●歌は、「春の野にすみれ摘みにと来し我れぞ野をなつかしみ一夜寝にける」である。 古市町和楽園万葉歌碑 (山部赤人) ●歌碑は、奈良市古i市町 和楽園入口にある。 ●歌をみていこう。 ◆春野尓 須美礼採尓等 來師吾曽 野乎奈都可之美 一夜宿二来 (山部赤人 …

万葉歌碑を訪ねて(その16改)―奈良市法蓮佐保山  万葉の苑―万葉集 巻十一 二四五六

●歌は、「ぬばたまの黒髪山の山草に小雨降りしきしくしく思ほゆ」である。 鴻ノ池陸上競技場東 万葉歌碑(作者未詳) ●歌碑は、奈良市法蓮佐保山 万葉の苑にある。 ●歌をみていこう。 ◆烏玉 黒髪山 山草 小雨零敷 益ゝ所思 (作者未詳 巻十一 二四五六) ≪書…

万葉歌碑を訪ねて(その15改)―平城京羅城門跡公園―万葉集 巻三 三二八

歌は、「あをによし寧楽の京師は咲く花の薫ふがごとく今盛りなり」である。 平城京羅城門跡公園 万葉歌碑(小野老) ●歌碑は、平城京羅城門跡公園にある。 ●歌をみてみよう。 ◆青丹吉 寧樂乃京師者 咲花乃 薫如 今盛有 (小野老 巻三 三二八) ≪書き下し≫あ…

万葉歌碑を訪ねて(その14改)―奈良市西ノ京町 がんこ一徹長屋―万葉集 巻四 六〇八

●歌は、「相思はぬ人を思うは大寺の餓鬼の後ろに額づくがごと」である。 がんこ一徹長屋 万葉歌碑(笠女郎) ●歌碑は、奈良市西ノ京町 がんこ一徹長屋にある。 ●歌をみていこう。 ◆不相念 人乎思者 大寺之 餓鬼之後尓 額衝如 (笠女郎 巻四 六〇八) ≪書き下…

万葉歌碑を訪ねて(その13改)―西ノ京「がんこ一徹長屋」―万葉集 巻十六 三八四〇

●歌は、「寺々の女餓鬼申さく大神の男餓鬼賜りてその子産まはむ」である。 がんこ一徹長屋 万葉歌碑(池田朝臣) ●歌碑は、西ノ京「がんこ一徹長屋」にある。 ●歌をみていこう。 ◆寺ゝ之 女餓鬼申久 大神之 男餓鬼被給而 其子将播 (池田朝臣 巻十六 三八四…

万葉歌碑を訪ねて(その12改)―ホテルリガーレ春日野(旧 春日野荘)前庭―巻八 一四三二

今日は、大伴坂上郎女の人物像に迫ってみたい。大伴家持を後ろ盾となって、歌人に育て上げたことは言うまでもない。犬養 孝氏はその著のなかで、「なによりも彼女は本当の歌人であり、歌作りといえましょう。」と述べておられる。 万葉歌碑を訪ねて―その12…

万葉歌碑を訪ねて(その11改)―佐保川堤―万葉集 巻四 七一五

●歌は、「千鳥鳴く佐保の河門の清き瀬を馬うち渡し何時か通はむ」である。 佐保川堤 万葉歌碑(大伴家持) ●歌碑は、佐保川堤にある。 ●歌をみていこう。 七一四から七二〇歌の歌群の題詞は、「大伴宿祢家持贈娘子歌七首」<大伴宿禰家持、娘子(をとめ)に…

万葉歌碑を訪ねて(その10改)―(奈良市法蓮町)佐保川堤―万葉集 巻八 一四三三

●歌は、「うち上る佐保の川原の青柳は今は春へとなりにけるかも」である。 佐保川堤 万葉歌碑(大伴坂上郎女) ●歌碑は、(奈良市法蓮町)佐保川堤にある。 ●歌をみていこう。 ◆打上 佐保能河原之 青柳者 今者春部登 成尓鶏類鴨 (大伴坂上郎女 巻八 一四三…

万葉歌碑を訪ねて(その9改)―佐保川小学校側の佐保川堤―万葉集 巻七 一一二三

●歌は、「佐保川の清き河原に鳴く千鳥かはずと二つ忘れかねつも」である。 佐保川堤 万葉歌碑(作者未詳) ●歌碑は、佐保川小学校側の佐保川堤にある。 ●歌をみていこう。 題詞、鳥を詠むの三首のうちの一つである。 ◆佐保河之 清河原尓 鳴知鳥 河津跡二 忘…

万葉歌碑を訪ねて(その7改、8改)―奈良市法蓮町 佐保川堤―万葉集 巻六 九九三、九九四

―その7― ●歌は、「月立ちてただ三日月の眉根掻き日長く恋ひし君に逢えるかも」である。 佐保川堤 万葉歌碑(大伴坂上郎女) ●歌碑は、奈良市法蓮町 佐保川堤にある。 ●歌をみてみよう。 題詞は、「同坂上郎女初月歌一首」<同じき坂上郎女が初月(みかづき…

万葉歌碑を訪ねて(その6改)―佐保川堤―万葉集 巻四 五二五

●歌は、「佐保川の小石ふみ渡りぬばたまの黒馬の來夜は年にもあらぬか」である。 佐保川堤 万葉歌碑(大伴坂上郎女) ●歌碑(プレート)は、佐保川堤にある。 これは、歌碑というより注意喚起の看板といったほうが良いかもしれない。木製である。「由緒ある…

万葉歌碑を訪ねて(その5改)―歌姫町 添御縣坐神社境内―万葉集 巻三 三〇〇

●歌は、「佐保過ぎて寧楽の手向の置く弊は妹を目離れず相見しめとぞ」である。 添御縣坐神社境内万葉歌碑(長屋王) ●歌碑は、歌姫町の添御縣坐神社(そうのみあがたのますじんじゃ)の境内にある。 ●歌をみていこう。 題詞は、「長屋王駐馬寧樂山作歌二首」…

万葉歌碑を訪ねて―番外編―

今朝は、3時半起床。サンドイッチは作らず。4時半に家を出る。大阪府泉南郡田尻町にある田尻海上釣り堀に向かう。阪神高速4号海岸線・泉佐野南ICを降りていつも行く釣具屋で冷凍のキビナゴやシラサエビ等を購入、6時ごろ海上釣り堀近くのコンビニに立ち…

万葉歌碑を訪ねて(その4改)―近鉄京都線高の原駅近くのUR平城第2団地内の公園―万葉集 巻十 一八八七

●歌は、「春日なる 三笠の山に 月も出(いで)ぬかも 佐紀山に 咲ける桜の 花の見ゆべく」である。 UR平城第2団地内公園 万葉歌碑(作者未詳) ●歌碑は、近鉄京都線高の原駅近くのUR平城第2団地内の公園にある。 ●歌をみてみよう。 題詞には、「旋頭歌」と…

万葉歌碑を訪ねて(その3改)―奈良市法華寺町法華寺境内―万葉集 巻三 三七八

●歌は、「いにしへの古き堤は年ふかみ池の渚に水草生えにけり」である。 法華寺 万葉歌碑(山部赤人) ●歌碑は、奈良市法華寺町法華寺境内にある。 ●歌をみていこう。 題詞は、「山部宿祢赤人詠故太政大臣藤原家之山池歌一首」<山部宿禰赤人、故太政大臣藤…

万葉歌碑を訪ねて(その2改)―奈良市法蓮町 狭岡神社境内―万葉集 巻四 五九三

●歌は、「君に恋ひいたもすべなみ奈良山の小松が下に立ち嘆くかも」である。 ●歌碑は、奈良市法蓮町の狭岡(さおか)神社境内にある。入り口の鳥居から本殿まで階段が続くが、中ごろの左側にある。歌の意味を記した木製の説明案内板と並んで石碑が設けられて…

万葉歌碑を訪ねて(その1改)―奈良市庁舎の前庭―万葉集 巻十五 三六〇二

●歌は、「あをによし奈良の都にたなびける天の白露見れど飽かなくに」である。 二条大路南「奈良市庁舎前庭」 ●歌碑は、奈良市庁舎の前庭にある。 ●歌をみていこう。 ◆安乎尓余志 奈良能美夜古尓 多奈妣家流 安麻能之良久毛 見礼杼安可奴加毛 (当所誦詠古歌…

ザ・モーニングセット&フルーツフルデザート190304(東歌と防人歌<その2>)

●サンドイッチの中身は、牛カルビとにんにくの芽にキャベツと玉ねぎを加え炒めたものを使った。なかなかの味わいである。 3月4日のザ・モーニングセット デザートは、イチゴの4割りメインにバナナ、ブドウ、干しぶどうで盛り上げた。 3月4日のフルーツ…

ザ・モーニングセット&フルーツフルデザート190303(万葉集「東歌と防人歌<その1>)

●今日はひな祭りである。イチゴを買って来たので、ひな祭り的なあでやかさを演出できればとデザートに時間をかけた。サンドイッチはひし餅的なイメージ? 3月3日のザ・モーニングセット イチゴの縦切りをメインに赤色を強調すべくバナナやブドウも使って飾…

ザ・モーニングセット&フルーツフルデザート190302(万葉集・防人の歌)

●万葉集の中にあって東歌と防人歌はある意味異質な存在である。先に東歌についてふれたが、今日は防人歌に挑戦してみる。大伴家持が中央の役人として、防人制度の一端を担っていたことは今回初めて知った。 今日のサンドイッチは、サラダ菜と焼き豚である。…