万葉集の歌碑めぐり

万葉歌碑をめぐり、歌の背景等を可能な限り時間的空間的に探索し、万葉集の万葉集たる所以に迫っていきたい!

2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧

万葉歌碑を訪ねて(その151)―奈良県高市郡明日香村 万葉文化館(5)―

●歌は、「春日にある 御笠の山に 月の舟出づ 風流士の 飲む酒坏に 影は見えつつ」である。 万葉文化館庭園万葉歌碑(5)(作者未詳) ●歌碑は、奈良県高市郡明日香村 万葉文化館庭園にある。文化館5つ目の歌碑である。 ●歌をみていこう。 ◆春日在 三笠乃山…

万葉歌碑を訪ねて(その150改)―奈良県高市郡明日香村 万葉文化館(4)―

●歌は、「皆人の 命もわれも み吉野の滝の常磐の 常ならぬかも」である。 万葉文化館庭園万葉歌碑(4)(笠 金村) ●歌碑は、奈良県高市郡明日香村 万葉文化館にある。文化館4つ目の歌碑である。 ●歌をみていこう。 ◆人皆之 壽毛吾母 三吉野乃 多吉能床磐…

万葉歌碑を訪ねて(その149)―奈良県高市郡明日香村 万葉文化館(3)―

●歌は、「ふさ手折り多武の山霧繁みかも細川の瀬に波の騒ける」である。 万葉文化館庭園万葉歌碑(3)(作者未詳) ●この歌碑は、奈良県高市郡明日香村 万葉文化館にある。3つ目である。 歌をみていこう。 ◆捄手折 多武山霧 茂鴨 細川瀬 波驟祁留 (作者未…

万葉歌碑を訪ねて(その148)―明日香村万葉文化館(2)―万葉集 巻七 一〇九九

●歌は、「片岡のこの向つ峰に椎蒔かば今年の夏の蔭にならむか」である。 奈良県立万葉文化館万葉歌碑(作者未詳) ●この歌碑は、奈良県高市郡明日香村 万葉文化館にある。文化館前庭2つ目の歌碑である。 ●歌をみていこう。 ◆片岡之 此向峯 椎蒔者 今年夏之 …

万葉歌碑を訪ねて(その147)―奈良県高市郡明日香村 万葉文化館庭園(1)―

●歌は、「天橋も 長くもがも 高山を 高くもがも 月夜見の 持てるをち水 い取り来て 君に奉りて をち得てしかも」である。 万葉文化館庭園万葉歌碑(1)(作者未詳) ●この歌碑は、奈良県高市郡明日香村 万葉文化館庭園にある。文化館庭園には6つの歌碑があ…

万葉歌碑を訪ねて(その146)―奈良県高市郡明日香村 万葉文化館駐車場―

●歌は、「八釣川水底絶えず行く水の継ぎてぞ恋ふるこの年ころを」である。 奈良県立万葉文化館駐車場万葉歌碑(作者未詳) ●歌碑は、奈良県高市郡明日香村 万葉文化館駐車場にある。 この歌碑は、漫画家で大阪芸術大学教授の里中満智子氏が揮毫、2019年…

万葉歌碑を訪ねて(その145)―奈良県高市郡明日香村 飛鳥坐神社(3)―万葉集 巻十三 三二二九

●歌は、「斎串立て神酒すえ奉る神主部がうずの玉蔭見ればともしも」である。 飛鳥坐神社拝殿近くの万葉歌碑(作者未詳) ●歌碑は、奈良県高市郡明日香村 飛鳥坐神社にある。 拝殿 拝殿から本殿を見る ●歌をみていこう。 ◆五十串立 神酒座奉 神主部之 雲聚玉…

万葉歌碑を訪ねて(その144改)―奈良県高市郡明日香村 飛鳥坐神社(2)―

●歌は、「大君は 神にしませば 赤駒の腹這ふ田居を 都と成しつ」である。 飛鳥坐神社境内万葉歌碑(大伴御行) この歌碑は、奈良県高市郡明日香村の飛鳥坐神社にある。同神社には3つの万葉歌碑がある。 歌をみていこう。 ◆皇者 神尓之座者 赤駒之 腹婆布田…

万葉歌碑を訪ねて(その143)―奈良県高市郡明日香村 飛鳥坐神社境内―

●歌は、「みもろは人の守る山もとへはあしひ花さきすゑへは椿花さくうらくはし山そ泣く子守る山」である。 ●歌碑は、奈良県高市郡明日香村 飛鳥坐神社(あすかにいますじんじゃ)にある。 飛鳥坐神社参道階段横万葉歌碑(作者未詳) 同神社では、毎年2月第1…

万葉歌碑を訪ねて(その142改)―奈良県高市郡明日香村 川原寺跡前―万葉集 巻十六 三八五〇

●歌は、「世間の繁き仮廬に住み住みて至らむ国のたづき知らずも」である。 川原寺跡前万葉歌碑(作者未詳) ●歌碑は、奈良県高市郡明日香村 川原寺跡前にある。 ●歌をみていこう。 ◆世間之 繁借廬尓 住ゝ而 将至國之 多附不知聞 (作者未詳 巻十六 三八五〇…

万葉歌碑を訪ねて(その141)―奈良県高市郡明日香村 犬養万葉記念館―万葉集 巻二 一五八

●歌は「山吹の立ちよそひたる山清水汲みに行かめど道の知らなくに」である・。 ●この歌碑は、奈良県高市郡明日香村 犬養万葉記念館にある。 犬養万葉記念館万葉歌碑(高市皇子) ●歌をみてみよう。 ◆山振之 立儀足 山清水 酌尓雖行 道之白鳴 (高市皇子 巻二…

万葉歌碑を訪ねて(その140改)―奈良県橿原市見瀬町 牟佐坐神社―万葉集 巻二 二〇七

●歌は、「…わが戀ふる千重も一重も慰むる情もありやと吾妹子が止まず出で見し軽の市にわが立ち聞けば玉襷畝火の山に鳴く鳥の聲も聞こえず玉桙の道行く人も 一人だに似てし行かねばすべをなみ妹が名喚びて袖ぞ振りつる」である。 ●歌碑は、奈良県橿原市見瀬町…

万葉歌碑を訪ねて(その139改)―奈良県橿原市別所町の別所池―万葉集 巻十 二二八九

●歌は、「藤原の古りにし郷の秋萩は先て散りにき君待ちかねて」である。 奈良県橿原市別所町 別所池万葉歌碑(作者未詳) この歌碑は、奈良県橿原市別所町 別所池畔にある。 別所池の道路をはさんだ南側に「史跡 藤原京朱雀大路跡」の碑と説明案内板がある。…

万葉歌碑を訪ねて(その138)―奈良県橿原市四分町 鷺栖神社―万葉集 巻二 二〇〇

●歌は、「久方の天知らぬる君ゆゑに日月も知らず戀ひ渡るかも」である。 奈良県橿原市四分町鷺栖神社境内万葉歌碑(柿本人麻呂) この歌碑は、奈良県橿原市四分町(しぶちょう)鷺栖神社(さぎすじんじゃ)にある。 鷺栖神社銘碑と境内 鳥居と拝殿 本殿 飛鳥…

万葉歌碑を訪ねて(その137改)―奈良県橿原市石川町の石川池(剣池)畔―巻三 三九〇

●歌は「軽の池の浦み行き廻る鴨すらに玉藻の上にひとり寝なくに」である。 奈良県橿原市石川町石川池(剣池)畔万葉歌碑(紀皇女) ●この歌碑は、奈良県橿原市石川町の石川池(剣池)畔にある。 ●歌をみていこう。 ◆軽池之 汭廻往轉留 鴨尚尓 玉藻乃於丹 獨…

万葉歌碑を訪ねて(その136改)―奈良県橿原市大軽町の春日神社―万葉集 巻十一 二六五六

●歌は、「天飛ぶや軽の社の斎ひ槻幾代まであらむ隠り妻ぞも」である。 奈良県橿原市大軽町春日神社境内万葉歌碑(作者未詳) ●歌碑は、奈良県橿原市大軽町の春日神社にある。 ●歌をみていこう。 ◆天飛也 軽乃社之 斎槻 幾世及将有 隠嬬其毛 (作者未詳 十一 …

万葉歌碑を訪ねて(その135改)―奈良県橿原市城殿町 本薬師寺跡―万葉集 巻三 三三四

●歌は、「忘れ草我が紐に付く香具山の古りにし里を忘れむがため」である。 奈良県橿原市城殿町 本薬師寺跡近くの万葉歌碑(大伴旅人) ●歌碑は、奈良県橿原市城殿町本薬師寺跡にある。 ●歌をみていこう。 ◆萱草 吾紐二付 香具山乃 故去之里乎 忘之為 (大伴…

万葉歌碑を訪ねて(その134改)―奈良県橿原市大久保町の大久保町公民館―万葉集 巻十六 三七八六

●歌は、「春さらばかざしにせむと我が思ひし桜の花は散り行けるかも」である。 奈良県橿原市大久保町 大久保町公民館万葉歌碑(作者未詳) ●歌碑は、奈良県橿原市大久保町の大久保町公民館にある。 写真に写っている、歌碑のうしろの白い説明板に、桜児のお…

万葉歌碑を訪ねて(その133改)―奈良県橿原市大谷町 畝火山口神社―万葉集 巻七 一三三五

●歌は、「思ひあまりいたもすべなみ玉たすき畝傍の山に我れ標結ひつ」である。 奈良県橿原市大谷町畝火山口神社万葉歌碑(作者未詳) ●歌碑は、奈良県橿原市大谷町 畝火山口神社にある。 ●歌をみていこう。 ◆思賸 痛文為便無 玉手次 雲飛山仁 吾印結 (作者…

万葉歌碑を訪ねて(その132改)―奈良県橿原市今井町まちなみ交流センター「華甍(はないらか)」―万葉集 巻二 一九七

●歌は、「明日香川しがらみ渡し塞かませば流るる水ものどにかあらまし」である。 奈良県橿原市今井町今井まちなみ交流センター夢甍北側中庭万葉歌碑(柿本人麻呂) ●歌碑は、奈良県橿原市今井町まちなみ交流センター「華甍(はないらか)」にある。 ●歌をみ…

万葉歌碑を訪ねて(その131改)―奈良県橿原市雲梯町の河俣神社―万葉集 巻十二 三一〇〇

●歌は、「思はぬを思ふと言はば真鳥棲む雲梯の社の神し知らさむ」である。 河俣神社万葉歌碑(作者未詳) ●歌碑は、奈良県橿原市雲梯町の河俣神社境内にある。 ●歌をみていこう。 ◆不想乎 想常云者 真鳥住 卯名手乃社之 神思将御知 (作者未詳 巻十二 三一〇…

万葉歌碑を訪ねて(その130改)―奈良県橿原市中曽司町 磐余神社―万葉集 巻十二 三〇八七

●歌は、「ま菅よし宗我の川原に鳴く千鳥間なし我が背子我が恋ふらくは」である。 奈良県橿原市中曽司町磐余神社参道万葉歌碑(作者未詳) ●歌碑は、奈良県橿原市中曽司町 磐余神社にある。 ●歌をみていこう。 ◆真菅吉 宗我乃河原尓 鳴千鳥 間無吾背子 吾戀者…

万葉歌碑を訪ねて(その129改)―奈良県橿原市南浦町万葉の森(9)―万葉集 巻十九 四一四〇

●歌は、「吾が園の李の花か庭に散るはだれのいまだ残りたるかも」である。 奈良県橿原市南浦町万葉の森万葉歌碑(大伴家持) ●歌碑は、奈良県橿原市南浦町万葉の森(9)にある。 ●歌をみていこう。 ◆吾園之 李花可 庭尓落 波太礼能未 遺在可母 (大伴家持 …

万葉歌碑を訪ねて(その128改)―奈良県橿原市南浦町万葉の森(8)―万葉集 巻七 一一一八 

●歌は、「いにしへにありけむ人も我がごとか三輪の桧原にかざし折りけむ」である。 奈良県橿原市南浦町万葉の森万葉歌碑(柿本人麻呂) ●歌碑は、奈良県橿原市南浦町万葉の森にある。橿原万葉の森第8弾である。 ●歌をみてみよう。 ◆古尓 有險人母 如吾等架 …

万葉歌碑を訪ねて(その127の2改)―万葉集 日本挽歌 巻五 七九四 ならびに反歌

万葉歌碑を訪ねて―その127の2― イメージ画像:福岡県太宰府市大宰府メモリアルパーク 日本挽歌の碑(20201117撮影) 【日本挽歌】をみていこう。 題詞は「日本挽歌一首」≪日本(にほん)挽歌(ばんか)一首>である。 ◆大王能 等保乃朝廷等 斯良…

万葉歌碑を訪ねて(その127の1改)―奈良県橿原市南浦町万葉の森―万葉集 巻五 七九八

万葉歌碑めぐり―その127の1― ●歌は、「妹が見し楝の花は散りぬべし我が泣く涙いまだ干なくに」である。 ●歌碑は、奈良県橿原市南浦町万葉の森にある。橿原万葉の森第7弾である。 奈良県橿原市南浦町万葉の森万葉歌碑(山上憶良) 万葉の森の歌碑は、こ…

万葉歌碑を訪ねて(その126改)―奈良県橿原市南浦町万葉の森―万葉集 巻十 一九四二

●歌は、「ほととぎす鳴く声聞くや卯の花の咲き散る岡に葛引く娘子」である。 奈良県橿原市南浦町万葉の森万葉歌碑(作者未詳) ●歌碑は、奈良県橿原市南浦町万葉の森にある。万葉の森歌碑第6弾である。 ●歌をみていこう。 ◆霍公鳥 鳴音聞哉 宇能花乃 開落岳…

万葉歌碑を訪ねて(その125改)―奈良県橿原市南浦町万葉の森―万葉集 巻六 九二五

●歌は、「ぬばたまの夜の更けゆけば久木生ふる清き川原に千鳥しば鳴く」である。 奈良県橿原市南浦町万葉の森万葉歌碑(山部赤人) ●歌碑は、奈良県橿原市南浦町万葉の森にある。万葉の森第5弾である。 ●歌をみていこう。 ◆烏玉之 夜乃深去者 久木生留 清河…

万葉歌碑を訪ねて―その124の5―梅花宴の参加者32名の歌はもちろん当時の役職など記録として残っており、それが万葉集に収録されていることに改めて驚かされる。これも万葉集の魅力の一つであろう。(万葉歌碑を訪ねて―124の5―)

太宰府天満宮「曲水の庭」(イメージ写真) ●梅花宴のメンバーの席順を想像してみると、上席グループと下席グループに別れ、大伴旅人が上席グループの上座、総幹事の小野淡理が下席グループの下座に座っていたと考えられる。(伊藤 博 著 「万葉集 一」 角川…

万葉歌碑を訪ねて―その124の4―梅花宴はその名の通り「梅の花」を主題に歌に興じているが、なかには、いやいや梅だけでなく、梅が散っても次は桜が咲くからと次を見据えた楽しい歌もある。(万葉歌碑を訪ねて―その124の4―4)

●梅花宴はその名の通り「梅の花」を主題に歌に興じている。八二九歌(張氏福子)は、いやいや梅だけでなく、梅の後には桜が咲くから、その時には再び楽しい宴を持ちましょうと詠っている。万葉の桜はヤマザクラの類を指すとするのが一般的である。万葉集に詠…