●歌は、「筑波嶺に雪かも降らるいなをかも愛しき子ろが布乾さるかも」である。
●歌をみていこう。
◆筑波祢尓 由伎可母布良留 伊奈乎可母 加奈思吉兒呂我 尓努保佐流可母
(作者未詳 巻十四 三三五一)
≪書き下し≫筑波嶺(つくはね)に雪かも降(ふ)らるいなをかも愛(かな)しき子(こ)ろが布(にの)乾(ほ)さるかも
(訳)筑波嶺に雪が降っているのかな、いや、違うのかな。いとしいあの子が布を乾かしているのかな。(伊藤 博 著 「万葉集 三」 角川ソフィア文庫より)
(注)降らる:「降れる」の東国形。(伊藤脚注)
(注)いなをかも【否をかも】分類連語:いや、そうではないのかな。違うのだろうか。 ⇒なりたち 感動詞「いな」+間投助詞「を」+係助詞「かも」(weblio古語辞典 学研全訳古語辞典)
(注)ニノ:「ヌノ」の訛り。(伊藤脚注)
(注)乾さる:「乾せる」の東国形。(伊藤脚注)
この歌については、直近では、拙稿ブログ「万葉歌碑を訪ねて(その2455)」で紹介している。
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この三三五一歌は、「東歌巻頭五歌」の一首である。
この巻頭五歌をめぐる様々な議論については、拙稿ブログ「万葉歌碑を訪ねて(その1245)」で五歌とともに紹介している。
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■■筑波山神社→ライオンズ広場万葉の森■■
筑波山神社から山道を約15分のドライブである。
くねくね道を黙々とひた走る。いつもは、「もっとスピードをおとしてよ!」、「側溝に気を付けて!」とか何やかや走っているとうるさく感じる助手席の声がないのも寂しいものである。
到着!!
広い駐車場には商用車が1台止まっているだけである。
藤棚?の後ろにある歌碑と高橋虫麻呂の立派な歌碑が迎えてくれる。
その前に車を停め、周辺の探索である。万葉の森というだけあって、歌碑プレートが林立している。
歌碑の向こう側は窪地になっており、植物に因んだ歌碑プレートが立てられている。
レンタカーからの間合いを図りながらり数枚のプレートを撮影しては、車を確認する。
あまり手入れはされていないようである。草はぼうぼうの状態で、所々にゴミが散らかっている。
残念なことに、万葉歌碑を見に来る人のマナーもやや悪そうである。いな、万葉歌碑を見に来た人でなくこの公園に遊びに来た人のなせる業かも。
調べてみると、キャンプ場としても使われているようである。
商用車もいつの間にかいなくなっている。万葉歌碑のあるところは、大概独占状態にあるが、レンタカーであるが故の妙な緊張感がある。
植物に因んだ歌は限られているので、どこでも同じような歌碑ばかりであるが、それはそれでまた味がある。
一時を、万葉の森で歌碑プレートと戯れていたのである。
「つくば新聞HP」つくば近隣ガイド「石岡市」の項に「万葉の森」について、次のように書かれている。
「万葉の森:ライオンズ広場。八郷ライオンズクラブ創立25周年記念事業で造られた。 万葉集に詠まれている植物を集めた公園。湯袋観光道路沿いにある。」
(参考文献)
★「萬葉集」 鶴 久・森山 隆 編 (桜楓社)
★「weblio古語辞典 学研全訳古語辞典」
★「つくば新聞HP」