万葉集の歌碑めぐり

万葉歌碑をめぐり、歌の背景等を可能な限り時間的空間的に探索し、万葉集の万葉集たる所以に迫っていきたい!

万葉歌碑を訪ねて(その1936)―安八郡神戸町中沢 日比野五鳳生家跡記念碑―万葉集 巻一 四八

●歌は、「東の野にかぎろひの立つ見えてけへり見すれば月かたぶきぬ」である。

安八郡神戸町中沢 日比野五鳳生家跡万葉歌碑(柿本人麻呂

●歌碑は、安八郡神戸町中沢 日比野五鳳生家跡にある。

 

●歌をみてみよう。

 

◆東 野炎 立所見而 反見為者 月西渡

       (柿本人麻呂 巻一 四八)

 

≪書き下し≫東(ひむがし)の野にかぎろひの立つ見えてけへり見すれば月かたぶきぬ   

 

(訳)東の野辺には曙の光がさしそめて、振り返ってみると、月は西空に傾いている。(「万葉集 一」 伊藤 博 著 角川ソフィア文庫より)

(注)かぎろひ【陽炎】名詞:東の空に見える明け方の光。曙光(しよこう)。②「かげろふ(陽炎)」に同じ。[季語] 春。※上代語。(weblio古語辞典 学研全訳古語辞典)

 

この歌については、奈良県宇陀市 人麻呂公園(その368)と同 かぎろひの丘(その369)の歌碑とともに紹介している。

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 題詞は、「軽皇子宿干安騎野時柿本朝臣人麻呂作歌」<軽皇子、安騎(あき)の野に宿ります時に、柿本朝臣人麻呂が作る歌>である。四五歌(長歌)、四六から四九(短歌)の歌群となっている。

 この歌群についてはブログ拙稿「万葉歌碑を訪ねて(その1064)」で紹介している。

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安八郡神戸町 神戸町役場→同町 日比野五鳳生家跡記念碑■

神戸町役場の近くに立派な日比野五鳳記念美術館がある。

役場から南、車で10分くらいのところに、養老鉄道東赤坂駅」がある。その近くに「日比野五鳳生家跡記念碑」がある。

「日比野五鳳記念碑」案内板

 日比野五鳳(ひびのごほう)については、「コトバンク 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)」に次の様に書かれている。

「(1901―1985)書家。愛知県東春日井(ひがしかすがい)郡勝川町(現春日井市)生まれ。本名信(まこと)。幼くして母と死別し、岐阜の祖父母に育てられる。大垣中学校時代に大野百錬(びゃくれん)に会い、書を本格的に習う。仮名作家として大成した五鳳であるが、仮名は独学で習ったもので、当初百錬にはもっぱら顔真卿(がんしんけい)の書法や晋(しん)唐の碑法帖(ひほうじょう)の書法を習った。彼独特の線質の粘り強さは、このころの漢字の修練によっている。のち京都に出て女学校の助教諭を勤めながら、1927年(昭和2)文検に合格、教員生活のかたわら書作に励んだが、48年(昭和23)に日展に参加したのを機に教員を辞し、書壇の重鎮として活躍した。多くの門人を抱え、水穂(すいほ)会を主宰。77年日本芸術院会員となり、83年には文化功労者となる。代表作に『大字仮名いろは屏風(びょうぶ)』(1963・東京国立博物館)などがあり、古典に立脚した雄大で勁強(けいきょう)な仮名作品を残した。」

(注)顔真卿:中国、唐代中期の政治家、書家。(同上)

(注)ほうじょう【法帖】〘名〙:先人の筆跡または碑文などを習字の手本や鑑賞用に模写、臨写したもの。また、石または木に刻み、これを石摺(いしずり)にした折本。一種類の筆跡を刻したものを単帖といい、多くの人の筆跡を集めたものを集帖という。集帖としては中国、宋の淳化閣帖、明の停雲館帖、清の三希堂帖などが有名。墨帖。法書。(コトバンク 精選版 日本国語大辞典

「日比野五鳳の胸像」

 

 「書」といえば、万葉歌碑の草書体等で書かれた碑文は満足に読めない。

 万葉歌碑巡り以外では、やきものや骨董にも興味を持っている。以前、信楽に出かけた折に、江戸時代後期の信楽焼の大振りの茶壷が気に入って買ってきた。しかし茶壷に書かれた文字が読めないので、京都府木津川市山城町にある山城郷土資料館の学芸員の方に読んでいただいたことを思い出した。

 下の写真の文字は、「城州上こま 椿井 綿屋忠右衛門」である。当時は、今のような送り状のようなものはなく、茶壺に直接送り先を書いたそうである。壷の後ろは、送り主の名「善右衛門」とある。

「城州(じょうしゅう)」とあるが、「コトバンクデジタル大辞泉の解説)」を見ると「山城(やましろ)国の異称」とある。

宇治、和束等は、今では茶業が盛んでるが、それ以前は「綿業」が盛んであった。茶壺の宛名も「綿屋忠右衛門」とあるが、元々は名のとおり「綿屋」であったと思われる。

綿業から茶業への転換等の移り変わりなどまで万葉歌碑のおかげで勉強できたのである。

 

信楽焼の大ぶりの茶壷

 このことに関しては、ブログ拙稿「万葉歌碑を訪ねて(その181改)」で紹介している。

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 「草書」はマスターしたいものでる。

 

 

 

大垣市内のホテルにチェックイン。全国旅行支援「ぎふ旅コイン」二人分6,000ポイントをもらう。

カードの裏の説明に従って、アプリをインストール、カードの二次元バーコードを読み込み準備完了。

次は、利用店舗の検索である。飛騨高山地域の店舗が多いようである。

養老SA(上り)は、トイレ休憩をした時にコインが使えると確認していた。仮眠中に家内はSA店舗内を散策し買いたいものを物色していたようである。

養老の滝に行く前に立ち寄る方法はないかと、考え一般道から養老SA(上り)と検索してみると、「ぷらっとパーク」を利用して行けることが分かった。

何とかなるものである。

お土産や昼食などを買い込むとあっという間に6,000円をオーバーする。

しかし、幸せな一時であった。

歌碑巡りとはいえ観光の前に買い物ができるのも良いものである。

 

 

 

(参考文献)

★「萬葉集」 鶴 久・森山 隆 編 (桜楓社)

★「万葉集 一」 伊藤 博 著 (角川ソフィア文庫)

★「weblio古語辞典 学研全訳古語辞典」

★「ごうど観光マップ」 (神戸町役場総務部まちづくり戦略課)