万葉集の歌碑めぐり

万葉歌碑をめぐり、歌の背景等を可能な限り時間的空間的に探索し、万葉集の万葉集たる所以に迫っていきたい!

万葉集の世界に飛び込もう(その3313)―万葉一日一葉 「植物で見る万葉の世界」(國學院大學「万葉の花の会」発行)より」―はなかつみ[ヒメシャガ]

●歌は、「をみなへし佐紀沢に生ふる花かつみかつても知らぬ恋もするかも(中臣女郎 4-675)」である。

「はなかつみ[ヒメシャガ]」 「みんなの趣味の園芸 (NHK出版HP)」より
引用させていただきました。

 「集中、例歌の1首しか見えない植物のため、古来から難解植物の一つとされている。マコモ・ヒメシャガ・ハナショウブ・アヤメなどが候補として挙げられている。・・・万葉人も平安人も『花かつみ』がどんな花であるかをよく知っていたのだろう。万葉時代にはそれが奈良の都の佐紀沢(さきさわ)の池のほとりに咲いており、平安時代以降は、遠く離れた陸奥の植物として認識されていたのであろう。(後略)」(「植物で見る万葉の世界」(國學院大學「万葉の花の会」発行)より)

 

●歌をみていこう。

◆娘子部四 咲澤二生流 花勝見 都毛不知 戀裳摺可聞

      (中臣女郎 巻四 六七五)

 

≪書き下し≫をみなえし佐紀沢(さきさわ)に生(お)ふる花かつみかつても知らぬ恋もするかも

 

(訳)おみなえしが咲くという佐紀沢(さきさわ)に生い茂る花かつみではないが、かつて味わったこともないせつない恋をしています。(「万葉集 一」 伊藤 博 著 角川ソフィア文庫より)

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(注)をみなへし【女郎花】:①おみなえし。②「佐紀(現奈良市北西部・佐保川西岸の地名)」にかかる枕詞。 (weblio辞書 デジタル大辞泉)

(注)さきさわ(佐紀沢):平城京北一帯の水上池あたりが湿地帯であったところから

このように呼ばれていた。(伊藤脚注)

(注)はなかつみ【花かつみ】名詞:水辺に生える草の名。野生のはなしょうぶの一種か。歌では、序詞(じよことば)の末にあって「かつ」を導くために用いられることが多い。芭蕉(ばしよう)が『奥の細道』に記したように、陸奥(みちのく)の安積(あさか)の沼(=今の福島県郡山(こおりやま)市の安積山公園あたりにあった沼)の「花かつみ」が名高い。「はながつみ」とも。(weblio古語辞典 学研全訳古語辞典)

(注)かつて【曾て・嘗て】副詞:〔下に打消の語を伴って〕①今まで一度も。ついぞ。②決して。まったく。 ⇒ 参考 中古には漢文訓読系の文章にのみ用いられ、和文には出てこない。「かって」と促音にも発音されるようになったのは近世以降。(学研)

 

六七五から六七九歌の歌群の、題詞は、「中臣女郎(なかとみのいらつめ)贈大伴宿祢家持歌五首」とある。

 

 

●当該歌の歌碑をみてみよう。

■奈良市 水上池北万葉歌碑■

奈良市 水上池北万葉歌碑(中臣女郎 4-675) 20190305撮影

 

■奈良市春日野町 春日大社神苑萬葉植物園万葉歌碑(プレート)■

奈良市春日野町 春日大社神苑萬葉植物園万葉歌碑(プレート)
(中臣女郎 4-675) 20210427撮影

 

■静岡県浜松市浜北区 万葉の森公園万葉歌碑(プレート)■

静岡県浜松市浜北区 万葉の森公園万葉歌碑(プレート)(中臣女郎 4-675) 
20220412撮影



 

 

■広島県呉市倉橋町 万葉植物公園万葉歌碑(プレート)■

広島県呉市倉橋町 万葉植物公園万葉歌碑(プレート)(中臣女郎 4-675) 
20220524撮影



 

 

■国分寺市西元町 国分寺万葉庭園万葉歌碑(プレート)■

国分寺市西元町 国分寺万葉庭園万葉歌碑(プレート)(中臣女郎 4-675) 
20251122撮影

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(参考文献)

★「萬葉集」 鶴 久・森山 隆 編 (桜楓社)

★「万葉集 一」 伊藤 博 著 (角川ソフィア文庫)

★「植物で見る万葉の世界」 (國學院大學「万葉の花の会」発行)

★「weblio古語辞典 学研全訳古語辞典」

★「weblio辞書 デジタル大辞泉」

★「みんなの趣味の園芸」 (NHK出版HP)