万葉集の歌碑めぐり

万葉歌碑をめぐり、歌の背景等を可能な限り時間的空間的に探索し、万葉集の万葉集たる所以に迫っていきたい!

巻九の冒頭歌、雄略天皇御製歌(巻九 一六六四)の左注に、「右或本云崗本天皇御製 不審正指 因以累載」とある。「正指(せいし)を審らかにせず、よりて累(かさ)ね載(の)す」という編纂者の判断にはある意味微笑ましいしい気持ちにさせるものがある。(万葉歌碑を訪ねて―その93―)

雄略天皇御製歌(巻九 一六六四)は巻九の冒頭歌である。しかし、左注に、「右或本云崗本天皇御製 不審正指 因以累載」とある。

雄略天皇歌:暮去者 小椋山尓 臥鹿之 今夜者不鳴 寐家良霜

      夕されば小倉の山に臥す鹿の今夜は鳴かずい寝(ね)にけらしも

崗本天皇歌:暮去者 小倉乃山尓 鳴鹿者 今夜波不鳴 寐宿家思母

      夕されば小倉の山に鳴く鹿は今夜は鳴かず寐(い)ねにけらしも

どちらも天皇御製歌である。万葉集編纂者の「正指(せいし)を審らかにせず、よりて累(かさ)ね載(の)す」の文言の中に、大変な作業を進めている中で、ある意味大胆な判断をさらりとやってのけているのには、驚かされるとともに微笑ましさを感じざるを得ない。

 

●サンドイッチは、サニーレタスと焼き豚である。デザートはりんごの縦切りを放射状に並べ、トンプソンとレッドグローブで加飾した。

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5月30日のザ・モーニングセット

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5月30日のザ・モーニングセット

 

●万葉歌碑を訪ねて―その93―

  「夕去れば小倉の山に臥す鹿の今夜は鳴かずい寝にけらしも」

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脇本春日神社、朝倉小近くの万葉歌碑(雄略天皇

 

 この歌碑は、桜井市立朝倉小学校近くの脇本春日神社にある。

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脇本春日神社境内


  この日の歌碑めぐりは順調である。前にも昼食のおにぎりなどを買ったことのある脇本交差点近くのコンビニに立ち寄る。おにぎりや稲荷寿司を買い、車の中で昼食タイム。持参のポットのコーヒーで一息。

 コンビニの北側の山手に脇本春日神社がある。車1台がやっと通れる道を上る。朝倉小学校と神社の真ん中くらいに集会場のようなものがあり車が3台ほど止められるスペースがあるのでそこに車を止める。車が1台止まっていたので、切り返しを何度も行い方向転換しておく。

 その駐車場の片隅に草にまみれて歌碑がある。

 春日神社は、山の斜面に建てられており、本殿は三間社春日造である。

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春日神社拝殿

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春日神社本殿


 

 歌をみていこう。巻九の冒頭歌である。

◆暮去者 小椋山尓 臥鹿之 今夜者不鳴 寐家良霜

                               (雄略天皇 巻九 一六六四)

 

≪書き下し≫夕されば小倉(をぐら)の山に伏す鹿は今夜(こよい)は鳴かず寐寝(いね)にけらしも

(訳)夕方になると、小倉の山で伏せることにしている鹿、その莬餓(とが)野の鹿同様危険にさらされた鹿は、どうしてか、今夜に限って鳴かない。大丈夫かな、なに、今夜は妻に巡り逢えて無事寝込んだのであるらしい。(伊藤 博 著「万葉集 二」角川ソフィア文庫より)

 

(注)伏す鹿:危険にさらされる鹿の意があった。仁徳紀「莬餓(とが)野の鹿」の話を参照と、伊藤 博氏は脚注に書いておられる。

 

 題詞は、「泊瀬朝倉宮御宇大泊瀬幼武天皇御製歌一首」≪泊瀬(はつせ)の朝倉(あさくら)の宮に天(あめ)の下(した)知(し)らしめす大泊瀬(おほはつせ)稚武天皇(わかたけのすめらみこ)の御製歌一首≫

(注)泊瀬朝倉宮古墳時代の第二十一代雄略天皇が営んだ宮殿

(注)ぎょう【御宇】:{宇内(うだい)を統御する意味}天子の治世の期間。

            御代(みよ)。

       萬葉集では、「天(あめ)の下(した)知(し)らしめす」と読む。

(注)大泊瀬幼武天皇:第二十一代雄略天皇

 

 左注は、「右或本云崗本天皇御製 不審正指 因以累載」≪右は、或本には「岡本天皇(をかもとのすめらみこと)の御製」といふ。正指(せいし)を審らかにせず、よりて累(かさ)ね載(の)す≫

 

(注)岡本天皇:三十四代舒明天皇

(注)正指(せいし):どれが正しいか

 

 万葉集巻八 一五一一歌に、題詞が、「崗本天皇御製歌一首」とあり、

「暮去者 小倉乃山尓 鳴鹿者 今夜波不鳴 寐宿家思母」の歌が収録されている。「累(かさ)ね載(の)す」とは、このことを意味している。

 

 

(参考文献)

★「萬葉集」 鶴 久・森山 隆 編 (桜楓社)

★「万葉集 二」 伊藤 博 著 (角川ソフィア文庫

★「万葉歌碑めぐり」(桜井市HP)

★「weblio古語辞書」